読者さま来月産休明けに消化器内科病棟に異動するように言われました。



消化器内科は患者さんに寄り添い、やりがいもあります。
消化器内科専門領域の治療や処置を押さえましょう。
病院勤務の看護師として、違う診療科に異動になるととても不安ですよね。
今回は消化器内科病棟についてお伝えします。
消化器内科病棟では、急性期から慢性期まで幅広く対応するため、患者さんの観察が重要です。
内視鏡検査及び治療・がん治療・緩和ケア・排泄ケアなど看護師が関わるケアが多く存在します。
関りが多い分、学びも深くなるため看護師のやりがいを感じる診療科です。
この記事では患者さんの観察ポイントや治療について、看護師としてのやりがいについて詳しく説明します。
消化器内科病棟の特徴と看護師の仕事内容と役割


消化器内科病棟は急性期から慢性期まで対象は多岐に渡ります。
疾患により治療や看護ケアが異なるため、個別性の看護ケアが必要です。
消化器内科病棟の特徴についてお伝えします。
消化器内科病棟に多い患者の症状



消化器内科はどういう患者さんが多いのでしょうか?
消化器内科病棟には消化器領域の症状があります。
腹水貯留によりお腹が苦しい方や、痛みにより身の置き所がない方もいます。
どの症状も患者さんに苦痛を伴い、苦痛を取り除くケアが必要です。
以下は、消化器内科病棟の患者さんから多く聞かれる症状です。
- 腹痛(上腹部・下腹部)
- 嘔気や嘔吐
- 腹部膨満感
- 血便や黒色便
- 下痢や便秘
- 食欲不振
- 黄疸
腹痛の訴えが多く、持続的もしくは間欠的なのか、食事後に多いのかなどアセスメントを行います。
腹痛の表現が、痛みの原因を探る手がかりとなるため患者さんの言葉を聞き状態を把握します。
患者さんが表現する言葉の例として、以下の言葉があります。
- キリキリ痛い
- ズキズキ痛い
- しくしく痛い
- ギューとなる痛み
患者さんの疼痛表情や表現からのアセスメントが、適切な治療提供につながります。
消化器内科の患者さんに対して、嘔気や嘔吐に対する看護ケアやアセスメントも重要です。
吐物の色調で、患者さんの状態をアセスメントに活かせます。
例として以下の状態があります。
- 透明や黄色→胃液
- 緑色→胆汁
- 便臭を伴う茶褐色→腸閉塞
- 赤→吐血
吐物の色調をアセスメントする事で、病態を理解する事が出来ます。
正確なアセスメントは医師への報告がスムーズになり、早期治療につながります。
結果として、苦痛を最小限にした早期対法が可能です。
疾患を理解し正確なアセスメントを行う事で患者さんへの理解が深まります。
治療や特徴について
消化器内科の対象患者さんについてお伝えします。
人間は口から肛門までは1本の消化管で繫がっており、消化管の疾患が消化器内科領域の対象となります。
- 胃十二指腸潰瘍
- 肝炎
- 肝硬変
- 胆石
- 急性膵炎 慢性膵炎
- 逆流性食道炎
- 大腸ポリープ
- 消化器がん(胃・大腸・肝臓・膵臓)
消化器内科の治療は、急性期から慢性期にかけて幅広いのが特徴です。
内科でありながらドレンやイレウスチューブなどの管理も行い、専門性が高い領域になります。
- 胃・大腸ポリープ切除
- 内視鏡的止血術
- 体外衝撃波(ESWL)
- ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)
- CART(腹水濾過濃縮再静注法)
- RFA(ラジオ派焼灼療法)
- がん化学療法
主な治療として内視鏡下での治療は多く実施されており、ポリープ切除後は治療後の出血に注意が必要です。
腹水貯留している患者さんは低アルブミン状態であるため、CART(腹水濾過濃縮再静注法)は多く行われています。
CARTは本人の腹水を有効成分のみ体内に戻す事ができ、腹水貯留による苦痛が軽減するため注目されている治療法です。
厚生労働省によると日本人は2人に1人はがんに罹患し、3人に1人はがんで亡くなっています。
消化器領域のがんは多く治療法は多いため、がんの特徴や治療について理解しておきましょう。
患者の観察ポイント



消化器内科の患者さん特有の観察ポイントがありますか?



排泄物や吐物の観察や聴診器を用いたアセスメントは有効です。
看護師の観察能力によって、治療スピードが左右されると言っても過言ではありません。
観察ポイントを理解して看護実践につなげましょう。
- 吐血や下血など消化管出血症状に注意
- ブリストルスケールを用いた排便状況の確認
- 食事摂取状況の確認
- 聴診器を用いたフィジカルアセスメント
消化器病棟では吐血や下血の場合、早期に処置が必要とされるケースがあります。
下血は新鮮血であれば肛門に近い出血であり、黒色であれば胃や十二指腸からの出血の可能性があります。
血液の量や色調を素早く観察し、冷静な判断をした上で医師へ報告を行います。
排便コントロールも消化器内科病棟では、重要な観察ポイントです。
ブリストルスケールを用いたアセスメントを行い、個別性に応じた排便コントロールを行います。
排便コントロールに対するケアについては「排便コントロールのケア」でお伝えします。
食事摂取状況についても観察が必要です。
腹水貯留している患者さんは、アルブミンの数値と栄養状態が低い状態が多いのが特徴です。
食事摂取状況に応じて高カロリーゼリーの追加や食事調整が必要となり、管理栄養士など他職種の連携が重要です。
他職種を交えたカンファレンスは、専門性の高い医療の提供につながります。
消化器内科病棟に多い4つの看護ケア


消化器内科病棟ではどのようなケアが必要なのでしょうか。
ここからは消化器内科病棟における押さえておくべき4つのケアについてお伝えします。
治療に対するケア



消化器内科で治療される患者さんにどんなケアが必要ですか?
消化器内科病棟は内視鏡を用いた治療や点滴治療を行うケースが多く、副作用を理解したケアが必要です。
内視鏡下治療後(EMR・ESD・ポリープ切除など)は、治療部位の出血や消化管穿孔症状に注意が必要です。
内視鏡治療後は、以下の点を観察します。
- 疼痛
- 吐血
- 下血
- 便の混血
- 黒色便
穿孔が疑われる場合は、緊急手術となる可能性があるため医師へ報告しなければなりません。
ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)後は、急性膵炎が発症する可能性があります。
疼痛や発熱があった場合には、バイタルサイン測定と患者さんの症状を観察し、医師へ報告を行います。
がん化学療法治療による苦痛を考慮したケアも対応します。
近年がん化学療法治療は進化しており、副作用対策も以前より有効な薬剤が用いられるようになりました。
がん化学療法に対する副反応はゼロではなく、嘔気や嘔吐、食欲不振などの副反応が起きる可能性があります。
副反応のモニタリングを強化したり、苦痛症状を和らげる薬剤を早期に使用したりして、苦痛をおさえることが期待できます。
がん化学療法は、症状がつらい感覚が残ると次回の治療時に影響する方もいます。
可能な範囲で早期対応できると、患者さん自身が治療継続しやすくなります。
アセスメントを行い、治療に伴う副反応に対して早期に対応しましょう。
苦痛に対するケア



消化器内科領域では疼痛や腹部膨満感に対するケア介入が必要です。
消化器内科病棟では「お腹が張って苦しい」「痛みがあるので痛み止め下さい」など苦痛症状を訴える患者さんが多いです。
苦痛の原因を理解した早期対応が必要です。
1.腹部膨満による苦痛
肝硬変やがん性腹膜炎などにより、腹水が貯留する方がいます。
腹水を抜いても栄養状態の低下などが影響し、再び腹水が貯留することも少なくありません。
腹部膨満感の苦痛を和らげるケアの一例は、以下のとおりです。
- セミファーラー位になる
- 側臥位になる
- 腹部を苦しめないようにゆとりのある衣服にする
腹水が貯留する事で横隔膜が押し上げられると呼吸困難感が生じやすいので、上記のケアは有効です。
2.疼痛による苦痛
胆石や膵炎は疼痛を伴い、患者さんにとって耐え難い症状です。
疼痛は、医師と連携し鎮痛剤の投与をしたり、右側臥位のポジショニングも疼痛を和らげる期待ができます。
3.食事が摂取出来ない苦痛
食事摂取に対する主な苦痛は、絶食と食欲低下で接触できないパターンがあります。
治療上、絶食が必要になる場合があります。
絶食は、消化機能を休める目的がありますが、食欲は継続するため苦痛を感じやすいです。
絶食に対する苦痛は、以下のケアを導入検討します。
- 口腔ケアの援助
- リップクリームをつける
- 食事時間はカーテンを閉める
- 食事摂取開始の目安を伝える
空腹感を和らげる対策や、食事開始の目安を目標にして、治療に協力してもらう必要があります。
2つ目は、食欲低下や腹部膨満感などにより食事摂取出来ない苦痛です。
食欲が無い場合でも、健康的な状態のように「食事を摂取したい」気持ちが残っている方はいます。
病気を発症し、消化機能が以前の状態に戻らない場合は、食欲低下や食事制限が伴う場合があります。
食欲低下で食事摂取ができない場合には、以下のケア導入を検討します。
- 1回の食事量を減らし、回数を増やす
- 高カロリーゼリーの追加を検討する
- 嗜好を考慮する
食欲が低下しているときは、少量ずつ摂取出来るように3回食から5回食に変更する場合があります。
管理栄養士と連携すると個別性に応じた対応も可能になるため、他職種連携を図り苦痛の軽減に努めましょう。
消化器内科病棟の患者さんの苦痛を早期に軽減する、他職種連携が大切です。
排便コントロールのケア
消化器内科病棟の排便コントロールは、苦痛だけでなく状態把握のために必要です。
毎日排便がある場合でも便が硬くなると、排便時に努責しなければならない状態になります。
排便時の努責は体力を消耗しやすかったり、不快感を増したりする可能性があります。
便秘の持続は、腸管の内圧が高くなり、二次的合併症のリスクも高まります。
排便コントロールの目標は個人によって異なるため、ブリストルスケールを用いた排便のアセスメントで調整します。
患者さんの退院後を見据えたケア
消化器内科領域では、退院に向けて患者指導を行う事もあります。
食事やアルコールについて患者さんと話し、個別性に応じた指導をしていきます。
胆石・胆嚢炎・膵炎は脂分の多い食事は、消化管に負担をかけるため避ける必要があります。
脂物の食べ物や、蒸しや茹で料理で脂分を控えるなどの指導をします。
膵炎やアルコール性肝炎では、禁酒指導が必要です。
アルコールを摂取する事で病状の悪化や、疼痛が出現する可能性があるため、節酒ではなく禁酒を指導します。
消化器内科の指導は、管理栄養士と連携する事でより効果的な指導が行えます。
消化器内科病棟看護師が感じるやりがい


消化器内科病棟のやりがいや、求められる看護師像についてお伝えします。
消化器内科病棟では、以下のような幅広いアセスメント能力や患者さんに寄り添う看護が求められます。
- 観察が得意(食事摂取量・排泄物・吐物などからのアセスメント)
- 最新医療への興味関心
- 患者さんに寄り添う看護師
- 排泄物処理に抵抗がない
筆者は、消化器内科病棟でも臨床経験を積みました。
急性期から慢性期まで幅広い治療に携われたり、患者さんのそばに寄り添う看護が実践出来たり、達成感がありました。
消化器内科病棟は、看護師の幅を広げられる、やりがいのある領域です。
消化器内科病棟で必要とされる看護師へ
消化器内科病棟では、観察が重要であり適切なアセスメントが重要です。
治療の幅も広く、患者さんは様々な症状や治療に伴う副反応に悩まされています。
患者さんの苦痛を理解して、寄り添える看護師が求められています。
新しい医療知識を積極的に収集する必要がありますが、後学に役立つ、やりがいのある領域です。
消化器内科病棟は、看護師を成長させてエキスパートナースになれると思っております。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献
厚生労働省:がん対策、その最前線を知る

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