読者さま家族の分と自分の分、別々に作らなきゃいけないの?



味気ない食事になるのは寂しい



その気持ち、とてもよく分かります。
実際に患者さんからも同じような声をよくお聞きします。
糖尿病といわれて、食事について考え始めたとき、どうやって始めたらいいのか不安を感じていませんか?
実は、糖尿病の食事療法は特別なことではなく、食べないのではなく整えることが基本です。
自己流で無理な制限をすると、血糖コントロールが乱れることがあります。
長続きしない原因にもなります。
本記事では、看護師の視点から初心者の方でも無理なく続けられるように分かりやすく解説します。
家族と同じ食事を楽しみながら、少しの工夫で血糖値を整えることは十分可能です。
「これなら続けられそう」と思える方法を見つけて無理なく前向きに食事療法を始めていきましょう。
初心者が活用できる糖尿病の食事療法の基本


糖尿病や高血糖を指摘されると不安になる方は多いでしょう。
何を食べるべきか、好きなものは食べられるのか悩みます。
糖尿病の食事療法は特別なものではなく、基本は「バランスのよい食事」を整えることです。(厚生労働省の指針に基づく)
無理な制限ではなく、日々の食事を少しずつ見直すことで、血糖値の安定につながります。
本章では、初心者の方でも取り組みやすい食事療法の基本について解説します。
食事療法が大切といわれる理由
糖尿病では、食事の内容や食べ方が血糖値に直接影響するため、日々の食事が治療の土台になります。
特に炭水化物の摂り方や食物繊維の取り入れ方によって、食後の血糖値の急上昇を抑えることができるとされています。
食後血糖とは、食事のあとに上昇する血糖値のことで、食後血糖の変動が大きいほど血管の負担が増えるとされています。
糖尿病診療ガイドラインでは、食物繊維は小腸での栄養素の吸収を遅らせることが示されています。
水溶性食物繊維摂取している人は、食事の後に上がる血糖値が抑えられるとの結果が出ており、食物繊維の摂取を推奨されています。
野菜・きのこ・海藻などから食物繊維をとり、食べる順番を意識することが重要です。
血糖コントロールの指標であるHbA1c(過去1~2カ月の平均血糖)の改善や合併症の予防につながります。
薬物療法だけに頼るのではなく、適切なエネルギー量と栄養バランスを意識した食事を続けることが重要です。
糖尿病の食事療法は、「何を食べてはいけないか」ではなく、「どう食べるか」を整えることが大切です。
初心者が誤解しやすいポイント
糖尿病の食事療法では、「制限すること」よりも「適切に調整すること」が重要です。
自己判断で始めた習慣が、かえって血糖コントロールを乱す原因になることもあります。



外来でも、「甘いものは控えたのにHbA1cが下がらない」と悩む方がいます。
特に以下の3つは、多くの方が誤解しやすいポイントです。
- ❌甘いものだけ控えればいい→✅炭水化物のバランスが重要
- ❌食べない方がよい→✅食べないと血糖値が乱れやすい
- ❌糖質は極力カット→✅適量を守ることが大事
糖尿病の食事療法では「どのくらい・どのように食べるか」を意識することが重要です。
完璧より続けやすさを重視
糖尿病の食事療法というと、「すべてを一度に変えなければいけない」と感じてしまう方もいるかもしれません。
しかし、いきなり完璧を目指す必要はありません。
大切なのは、日常生活の中で無理なく続けられる工夫を積み重ねることです。
食べ過ぎを防ぐためには、日常生活の中で以下のような工夫を取り入れることが大切です。
- 朝食を抜かない
- 野菜を一品増やす
- よくかんでゆっくり食べる
朝食をとる、野菜を増やすなどの小さな工夫でも、血糖値の安定に重要とされています。
食事療法は「我慢」ではなく「整えること」です。
ひとりで頑張りすぎないことも継続のポイントです。
家族と同じ食事を工夫し、外食でも主食・主菜・副菜を意識すると続けやすくなります。
食事は毎日のことだからこそ、「頑張りすぎない工夫」が重要です。
うまくできない日があっても問題ありません。
無理なく続けることが、結果的に血糖値の安定や合併症予防につながります。
食事内容を記録することも有効です。
「何をどのくらい食べているか」を可視化することで、食事の傾向に気づきやすくなり、改善につなげやすくなります。
例えば、ごはんカメラfor糖尿病のようなアプリを活用すると、食事の写真を撮るだけで簡単に記録できます。
記録した内容はカレンダー形式で振り返ることができ、受診時に医師や管理栄養士と共有する際にも役立ちます。
食事療法を一人で頑張るのではなく、食事記録アプリなどのツールも上手に取り入れながら、無理なく継続していきましょう。
初心者が取り入れやすい糖尿病の食事療法の基本ルール4つ


糖尿病の食事療法は、「食べ方の基本」を整えることが大切です。
次は、初心者の方でも実践しやすい4つのルールを紹介します。
食べる量を決めて食べすぎを防ぐ
糖尿病の食事では、「適量」を意識することがとても大切です。
1日必要なエネルギー量は、年齢や身体活動量に個別に選定されます。(厚生労働省)
糖尿病診療ガイドラインでは、標準体重1kgあたり25~35kcal程度を目安に、活動量に応じて調整するとされています。
例えば標準体重が60kgの場合、約1500~1800kcal/日が目安になります。
※エネルギー量は体格や活動量によって異なるため、医師や管理栄養士に相談して調整することが大切です。
- 主食の量を決める(ごはんは茶碗1杯まで)
- 小皿に盛り付ける
- おかわりを控える
- 味付けを薄味にする
- 「揚げる」よりも「焼く・蒸す」調理にする
味付けは少し薄めを意識すると、食欲が刺激されにくくなり、結果的に食べすぎ予防につながります。
揚げ物を減らし、「焼く・蒸す」調理を増やすことは、エネルギーコントロールに役立ちます。
「少し控えめかな?」くらいの腹八分目を意識しながら、無理なく続けていきましょう。
日々の小さな工夫が、血糖値の安定につながっていきます。
主食・主菜・副菜をそろえてバランスよく食べる
食事は「主食・主菜・副菜」をそろえることで、自然と栄養バランスが整います。
特別な食事を用意する必要はなく、普段の食事に一品副菜を加えるだけでも、バランスは整いやすくなります。
- 主食:ごはん・パン・麺類
- 主菜:肉・魚・卵・大豆製品
- 副菜:野菜・きのこ・海藻
さまざまな食材を組み合わせたメニューを意識することが大切です。
丼や麺類でも、以下の工夫で栄養バランスを整えることができます。
- 野菜を追加する
- 卵や肉・魚を加える
- サラダや汁物をつける
上記のような工夫でバランスを整えることができます。
具体的な献立に迷ったときは、糖尿病レシピ本やネットのレシピを参考にするのも一つの方法です。
主食・主菜・副菜を意識したメニューや麺や丼の工夫もあり、無理なく食事療法を続けたい方におすすめです。
食べる時間を整える
食事のタイミングも血糖値の安定に大きく影響します。
基本は、朝・昼・夕の1日3食を規則正しくとることです。
朝食を抜くなどの欠食習慣は、血糖コントロールを乱すことが指摘されています。(厚生労働省)



朝は、ヨーグルトやバナナなど、少量でもよいので何か口にすることが大切です。
- まとめ食い
- 夜遅い食事
- 寝る直前の食事
間食は、だらだら食べを避け、量を決めて日中にとることが勧められています。
コンビニ・外食での選び方
コンビニや外食でも、選び方次第で食事療法は実践できます。
- おにぎり+サラダ+ゆで卵
- 定食(主食+主菜+副菜)
- サラダチキン+味噌汁
- おにぎりだけ
- 麺だけ
- ラーメン+ライス(炭水化物のみの食事)
栄養成分表示を確認し、エネルギー量や糖質量を把握することも大切です。
1食あたりの適正量は個人差がありますが、1日の目安(1600~2000kcal程度)から逆算して選ぶと調整しやすくなります。
外食では、丼ものや麺類単品よりも、定食スタイルも選ぶと自然に栄養バランスが整いやすくなります。
市販総菜や外食は塩分が多くなりがちです。
1日6g未満を目安に、汁物は残し濃い味は控えましょう。(厚生労働省)
主食・主菜・副菜や量を意識した組み合わせにより、コンビニや外食でも無理なく食事療法を続けることができます。
糖尿病の食事療法で食べてよいもの・控えたいもの


糖尿病では、「これは絶対に食べてはいけない」という食品があるわけではありません。
重要なのは、食材の選び方と食べ方です。
積極的に取り入れたい食材
糖尿病の食事療法では、「何を制限するか」だけでなく、「どのような食材を選ぶか」がとても重要です。
基本は特別な食事ではなく、栄養バランスの整った健康的な食事を意識することとされています。
積極的に取り入れたい食材を紹介します。
- 野菜
- きのこ
- 海藻
食物繊維が豊富な食材は食後の血糖値の急上昇を抑える働きが期待でき、日々の血糖コントロールに役立ちます。
糖尿病診療ガイドラインでは、水溶性食物繊維の摂取が血糖コントロールに有効とされています。
研究では、1日あたり約7.6g~8.3g程度の摂取で改善効果が示されています。



納豆1パック、わかめ大匙1杯、もずく酢1パックなどを組み合わせることで目安量に近づけることができます。
- 大豆製品
- 魚
- 卵
- 脂身の少ない肉
たんぱく質源の食材は筋肉や体の機能を保つために必要であり、野菜だけに偏らないバランスが大切です。
食事はゆっくりよくかんで食べることもポイントです。
かみごたえのある食材を選ぶことで満足感を得やすくなり、食べ過ぎの予防にもつながります。
食物繊維とたんぱく質を意識し、さまざまな食品を組み合わせて取り入れることで、無理なくつづけられる食事療法に近づきます。
食べ方に注意したい食材
白米やパン、麺類、丼もの、菓子類、甘い飲み物などは、血糖値を上げやすい食品として知られています。
ただし、糖尿病だからといって「食べてはいけない」というわけではありません。
大切なのは、量や頻度を意識し、全体のバランスの中で上手に取り入れることです。
食べ方を工夫することで、血糖値の急上昇を抑えることが期待できます。
例えば、食事の最初に野菜や汁物をとることで、糖の吸収をゆるやかにしやすくなります。
野菜を先に摂取すると、米飯から先に摂取した場合と比較して30分後・60分後の血糖値が有意に低下したと報告されています。
早食いを避けてよくかんで食べることで満腹感が得られやすくなり、食べ過ぎの防止にもつながります。
同じ食材でも「何を食べるか」だけでなく「どのように食べるか」を意識することが、血糖コントロールを安定させるポイントです。
無理に制限するのではなく、日々のちょっとした工夫を積み重ねることが、無理なく続けられる食事療法につながります。
飲み物と調味料の落とし穴
飲み物や調味料は見落とされがちですが、知らないうちに糖質やカロリーを増やし、血糖値に影響を与えやすいポイントです。
ジュースや加糖カフェオレ、スポーツドリンクなどの甘い飲料は、血糖値を急上昇させやすいことが知られています。
習慣的に飲むと摂取量が増えがちになります。
焼肉のタレやドレッシング、市販のソース類にも砂糖が多く含まれていることがあります。
「少量のつもり」が積み重なってエネルギー過多につながることもあります。
調味料や飲み物に含まれた隠れた糖質は意識しないと気づきにくいため注意が必要です。
基本は、水やお茶、無糖のコーヒー・紅茶などを中心にし、飲み物で余分な糖質をとらない工夫が大切です。
調味料も「かけすぎない・選び方を工夫する」ことも意識することで、無理なく血糖コントロールにつなげることができます。
初心者は「食べない」より「整える」糖尿病の食事療法を取り入れよう!
糖尿病の食事療法は、「我慢すること」ではなく「整えること」です。
無理なく続けられる方法を取り入れることが、血糖値の安定と健康維持につながります。
まずは、明日写真を1枚撮ってみましょう。
食べたものを写真に撮ったり、アプリで記録したりするだけでも、自分の食事の傾向に気づきやすくなります。
「野菜を一品増やしてみよう」
「揚げ物を焼き物に変えてみよう」
気づいた小さな工夫を重ねることが大切です。
すべてを変えようとしなくても大丈夫です。
まず1つだけでも行動を変えることが、改善の第一歩になります。
できることから、少しずつ取り入れていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




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