読者さま子どもが急に吐いてしまった…!何からしたらいいの?
子どもの体調変化は急に起きるものです。
なんの前触れもなく、突然嘔吐してしまうこともあります。
急な出来事に戸惑ってしまい、何をしたら良いのか困った経験をした保護者の方も多いのではないでしょうか。
吐いてもケロッとして機嫌の良い子もいれば、ぐったりしている子もいて受診が必要なのか判断に迷うこともあると思います。
嘔吐物は感染源になるものです。
適切に処理をしなければ、家族内で感染が広がってしまう恐れもあります。
子どもを安全に看護するためにも、自分自身が感染しないための方法を知っておくことがとても重要です。
ここでは、子どもが嘔吐したときの看護のポイントや、嘔吐物の処理方法について解説していきます。
基本的な知識と対応方法を身につけ、急な出来事にも対応できるよう備えましょう。
子どもが嘔吐したときの自宅での対応方法


子どもが嘔吐をした時、何から行動したらいいのでしょうか。
ここでは、緊急時に慌てず行動できるよう、保護者が行動すべき順で対応方法を解説します。
上から順に対応をしていきましょう。
子どもへの対応
子どもへの対応は、下記の通りになります。
- 嘔吐物が付着した衣類を着替えて、消毒する
- 嘔吐以外の症状(発熱・脱水・下痢など)がないか確認する
- 嘔吐前の状況を確認する
- 寝ているときは横向きにして寝かせる
- 嘔吐後30〜1時間ほど様子を見て、水分補給をする
吐き終わって落ち着いてから、まずは着替えをしましょう。
目に見えて嘔吐物がついていなくても、飛沫が飛んでいるため身につけていた服は着替えて、消毒をしておくと安心です。
嘔吐以外の症状や、嘔吐した時の前後の子どもの様子を確認します。
子どもは消化管が未発達のため、咳き込みなどの刺激で嘔吐することもあります。
胃腸炎の時は、発熱や下痢を伴います。
嘔吐では、一度に大量の水分を失い、ぐったりしたり、肌が乾燥したりと脱水になる場合があります。
脱水が進むと、呼びかけへの反応が弱くなるなど、意識障害が出てくる可能性があるため、早めの受診が必要です。
さらに、頭をぶつけた後に嘔吐する可能性も考えられます。
嘔吐以外の症状の有無のほか、そのときの状況も把握しておくことが、受診をした時の診断において大切になります。
嘔吐するときに仰向けで寝ていると、嘔吐物が気道に入ってしまう(誤嚥)危険性があります。
誤嚥をすると窒息や、肺炎を引き起こしてしまう原因となります。
嘔吐物を誤嚥しないよう、嘔吐したり、吐き気が続いているときは横向きで寝かせてあげましょう。
嘔吐後は水分摂取が必要です。
しかし、嘔吐後すぐに水分を摂ると、その刺激で再び吐いてしまうこともあります。
30分〜1時間ほど様子を見て、落ち着いたことを確認してから水分補給を始めるのが良いです。
その際も、1度に大量に飲むのではなく、スプーン1杯分から少しずつ摂取するようにします。
食事に関しては、無理に食べる必要はありません。
心配な場合は甘くて柔らかいもの(アイス、ゼリー、フルーツなど)やジュースなど、本人の好きなものをあげると良いです。
無理に食べて、再び吐いてしまったりする方が本人にとっての負担が大きいため、無理は禁物です。
嘔吐物は適切に処理する
嘔吐物は、下記の手順で処理します。
- 部屋の換気をする
- 使い捨ての手袋・マスク・ガウンを身につける
- 新聞紙やキッチンペーパーを使って、嘔吐物を周囲に広げないように外側から中心に集め、除去する
- ビニール袋に新聞紙やキッチンペーパーごと捨てる
- 嘔吐物を除去した部分に消毒薬を浸した新聞紙やキッチンペーパーを敷いて、消毒をする
- 消毒に使ったペーパー類、最初に身につけた手袋などごと、ビニール袋に捨てる
- ビニール袋の中のものに染み渡るくらい消毒薬を入れる
- ビニール袋の口をしっかりと閉じる
- 石鹸を使って手洗いをする
嘔吐物の中には大量のウイルスが存在します。
中にはノロウイルスなど、アルコール消毒では効果がないウイルスも存在します。
嘔吐物に触れることで飛沫感染や接触感染を引き起こす可能性もあります。
さらに、嘔吐物が乾いてしまうと空気中にウイルスが舞い上がり、空気感染をする危険性もあります。
適切な手順、消毒薬、感染対策をして家族に感染を広げないことも、子どもが嘔吐した時の看護において非常に大切です。
嘔吐物の消毒には塩素系漂白剤を使用します。
子どもが吸ったり、直接手で触れてしまうと、とても危険です。
処理中は、子どもを手の届かない安全な場所に避難させてから作業に取り掛かりましょう。
大切なのは、消毒液の作り方です。
ペットボトルのキャップを使えば、簡単に計量できるので、ぜひ覚えておいてください。
嘔吐物が付着した床や物の消毒 ▶︎ 水1L + ペットボトルキャップ 2杯弱の塩素系漂白剤
衣類や食器などのつけおき ▶︎ 水1L + ペットボトルキャップ 0.5杯弱の塩素系漂白剤
消毒液は、濃過ぎても人体に影響があるし、薄過ぎても効果が低くなります。
上記の分量は、厚生労働省から提示されている方法なので覚えておくと良いでしょう。
受診の目安


嘔吐物の処理方法や、子どもへの対応について解説してきましたが、これだけでは受診すべきがどうか迷うこともあるのではないでしょうか。
ここでは、重症度に分けて受診する場合の目安を解説します。
これを読んで迷った時の参考にしてください。
すぐに受診をする症状
下記の症状がある時は早めに受診をしましょう。
水分がとれない
嘔吐が続いていて、顔色が悪い
ぐったりしている
嘔吐以外の症状を伴うとき
血液やコーヒーのカスのようなものを吐いた時
(授乳中の子の場合)授乳後にミルクを噴水のように勢いよく吐く
嘔吐が続いたり、水分が取れなかったりすると脱水の恐れがあります。
脱水の症状が進むと意識障害も出てきます。
次のような症状があるときは、脱水の可能性があるので注意しましょう。
唇や舌が乾いている
尿量が少ない、または出ない
皮膚の張りがない
目が落ちくぼんでいるように見える
(1歳半頃まで)頭の前側の大泉門が凹んでいる
発熱や下痢など、嘔吐以外の症状が見られるときは、何かしらの病気にかかっていることが考えられます。
集団生活をしている場合は、周りに感染させてしまうこともあるため、急ぎではないですが、できるだけ受診して診断を受けるようにしましょう。
血液やコーヒーのカスのようなものを吐くときは、消化管が出血しているサインです。
救急車の要請は必要なと考えられますが、内臓の出血のため速やかに受診しましょう。
生後2ヶ月未満の子で、授乳後に噴水のようにミルクを吐き出してしまう場合、肥厚性幽門狭窄症が考えられます。
胃の出口の筋肉が分厚くなって、通りが悪くなることで胃に溜まったミルクを吐き出すようになります。
頻回に吐いていると脱水になるので、早めに受診しましょう。
救急車を呼ぶ目安
下記の症状があるときは救急車を要請しましょう。
頭をぶつけた後の嘔吐
呼びかけへの反応が弱い
嘔吐前にアレルギー源に触れてしまった可能性がある場合
頭をぶつけた後の嘔吐は、脳の血管から出血している危険性があります。
そのままにしておくと、血液で脳内が圧迫されてしまい、麻痺などの様々な症状が出てきます。
治療が遅れると後遺症も残ってしまうことがあります。
嘔吐前に頭をぶつけていたときは、子どもを横向きに寝かせ、その場から動かさず、救急車が到着するのを待ちましょう。
呼びかけに対する反応が弱い場合も同様です。
脱水が原因で十分な血液量を確保できず、脳や全身に酸素が行き渡っていない可能性が考えられます。
この場合も、子どもをその場から動かさず、救急車を待ちましょう。
アナフィラキシーでも嘔吐することがあります。
アレルギーのあるものに触れたり、摂取してしまった可能性がある後の嘔吐の場合も救急車を要請します。
この場合、呼吸を苦しそう、冷や汗をかいている、全身に蕁麻疹が出てきたなど、他の症状の有無も確認しましょう。
自宅で様子を見れる場合
次のような症状の場合は、自宅で様子を見ることもできます。
嘔吐以外の症状がない
水分が取れている
嘔吐後も機嫌が良く、続かない
上記の症状の場合は、ひとまず自宅で様子を見ることも可能です。
症状が悪化したときにいつでも受診ができるよう、備えておくと良いでしょう。
慌てないために事前に備えておくこと


嘔吐の時の処理方法や、受診の目安を理解しても、実際の場面では急な出来事で焦ってしまうものです。
そのようなときでも落ち着いて行動できるようにするには、事前の準備が大切です。
ここでは、事前に備えておくと安心なことについてまとめていきます。
夜間・休日の時の対応
近所で夜間・休日の受診に対応している病院をリストアップしておきましょう。
いざ受診をしよう病院を調べても、休診日であったり、診療時間が過ぎてしまっていたりして、焦ってしまうものです。
筆者自身も、すぐに病院を受診させたいのに、対応可能な病院が見つからずに焦った経験をしたことがあります。
このようなときのために、一覧にしてリストアップしておくと、緊急時の手間も一つ減り、少し対応に余裕を持つことができると思います。
受診する時のセットも事前にまとめておくと、受診する時にスムーズです。
実際の現場でも、診察の予約をして受診に来てくださった患者さんが、保険証を忘れたために受診が遅くなってしまう場面もありました。
このようなことがあると、子どもにも保護者にも負担が増えてしまうので、事前に準備しておきましょう。
保険証入れケースなども販売されておりますので、活用するのがおすすめです。
受診が難しくても、いつでも相談できる場所があることを知っておくのも大事です。
子ども医療電話相談事業(#8000)では、夜間・休日に、電話で医師や看護師に相談することができます。
都道府県によって、対応している時間帯などが異なるので、こちらも事前に調べておくのが安心です。
誰でも確実に対応できるよう、これらの情報を家族間で共有しておくようにしましょう。
登園・登校を再開の目安
一般的には、最後の嘔吐から24時間経過し、いつも通りに水分と食事がとれていることが基準となることが多いです。
園や学校によってルールが異なる場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
また、感染症の場合は医師または保護者の記入による登園届の提出が必要になることがあります。
医師記入の場合は、再受診が必要なため併せて確認しておくようにしましょう。
自宅に備えておくと良いもの
保険証などは、先ほども伝えたようにまとめて保管しておいて、受診時に間違いなく持っていけるよう整えておきます。
その他、嘔吐物を処理するときには、下記のものをあらかじめバケツなどにセットしておくと便利です。
- バケツ、洗面器など大きめの容器
- 1Lのペットボトル
- 塩素系漂白剤(ハイターなど)
- 使い捨ての手袋・マスク・エプロン
- 新聞紙やキッチンペーパーなどの溶けにくい紙
- ビニール袋
使い捨ての手袋やエプロンは、普段はあまり使うものではないかもしれませんが、自分の身を守るために大事なものです。
100均に売っているもので十分なので、備えておくと良いでしょう。
基本的な対応を身につけて落ち着いて行動しよう!
子どもが嘔吐した時の基本的な対応と、受診の目安について解説してきました。
嘔吐症状は、様々な原因で引き起こされます。
中には、緊急性の高い疾患が潜んでいる可能性もあります。
嘔吐症状が、どのような場合に起きるものなのか知識をつけておきましょう。
また、嘔吐の時は子どもの体調だけでなく、自分や家族の身を守ることも大変重要です。
今回の記事を読んでいただき、もしものときに落ち着いて対応できるようにしておきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考文献
- 厚生労働省:保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)
- 厚生労働省:感染対策普及リーフレット
- 厚生労働省:子ども医療電話相談事業(#8000)について




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