エネルギーミックスを簡単に|世界の動きと家庭でできることを解説!

ニュースでエネルギーミックスって聞くけど、よく分からない……。
私には関係ないよね?

よく分からない単語が出てくると、無意識に「自分には関係ない」って拒否してしまいますよね。

実は、身近なところでも関係してくるので、苦手と感じているあなたにこそ知ってほしいのです。

この記事を読むと、エネルギーミックスとは何なのかなぜ今エネルギーミックスが大切なのか、その理由と背景がわかります。

毎日の電気代や、これからの地球環境に関わる大切な話も理解できます。

ぜひ最後までお読みください。

目次

エネルギーミックスとは?簡単に解説

エネルギーミックスとは、電気をつくるときにひとつの方法に頼らず、いろいろな発電方法を組み合わせることです。
日本語では、電源構成とも呼ばれます。

そういえば、電気って何から作られているの?

電気をつくる代表的な方法として、以下のものがあります。

代表的な発電方法
  • 火力発電……石油や石炭、天然ガスを燃やして発電する
  • 水力発電……川の水の流れを使って発電する
  • 原子力発電……少ない燃料で大量の電気をつくれる
  • 太陽光発電……太陽の光で電気をつくる
  • 風力発電……風の力で風車を回して電気をつくる

これら、どの発電方法にも長所と短所があります

発電方法長所短所
火力発電低コスト
発電量が安定・大きい
CO₂を大量に排出
資源を輸入に依存
水力発電CO₂排出量が少ない
安定供給が可能
初期費用がかかる
立地条件が限定される
原子力発電CO₂を排出しない
安定供給が可能
少ない燃料で大量発電
事故時のリスクが大きい
放射性廃棄物の処理が課題
太陽光発電CO₂排出が少ない
資源が無限
停電にも強い
初期費用が高い
天候に左右される
風力発電CO₂排出量0
発電効率がよい
陸上・洋上どちらも可能
騒音・景観問題
メンテナンス費用が高額
風が弱いと発電できない

1つだけに頼ると、もしその方法が使えなくなった時に電気が足りなくなってしまいますね。
さらに、環境への影響が大きい発電方法であった場合、地球温暖化を進めてしまうリスクもあります。

そのため、火力・水力・原子力・太陽光・風力などをバランスよく使って、どれかがダメでも他で補えるようにするのです。

エネルギーミックスとは、電気を安定して届けるためのバランスのとれた発電方法の組み合わせのことなのです。

なぜ今、エネルギーミックスが大切なのか?

エネルギーミックスの大切さを考えるとき、先に日本のエネルギー政策の基本方針であるS+3Eを知るとわかりやすいです。

「S+3E」は、それぞれ頭文字をとったもので次の意味からできています。

S+3Eとは
  • S(Safety:安全性)
  • E(Energy Security:安定した電力供給)
  • E(Economic Efficiency:経済効率性)
  • E(Environment:環境への配慮)

最初のSは「安全性」で、人や環境にとって安全であることが大前提ということです。

次に、3つのEについて、詳しく見ていきましょう。

エネルギーを安定して届けるため

1つ目のE:Energy Security

日本は、エネルギーミックスで電気をつくって安定性を高めることがとても重要です。

なぜかというと、日本のエネルギー自給率はまだ低くて、燃料を海外に大きく頼っているからです。

2023年度のエネルギー自給率は、IEA基準で15.3%です。
過去には、6%台のときもありました。

もし世界の情勢が不安定になり、石油や石炭、天然ガスが入ってこなくなれば、電気をつくるコストが上がり、私たちの生活にも大きな影響が出ます。

さらに日本は、地震や台風など自然災害が多い国です。

どこかの地域の発電所が災害で停止してしまったら、電気を届けられなくなってしまうかもしれません。

このように、輸入に依存していることや自然災害は、エネルギー供給のリスクが高いのです。

だからこそ、エネルギーミックスで発電方法を分散させ、電気を安定して届けられるようにすることが必要なのです。

家庭の電気代にも影響する?

2つ目のE:Economic Efficiency

読者さま

ここ数年で電気代が高くなったけど、関係あるの?

筆者

電気代高騰の背景をお伝えしていきますね!

電気代が高くなるのは、日本が電気をつくるためのエネルギーをほとんど外国からの輸入に頼り、その多くを火力発電に使っているからです。

火力発電は、石油や天然ガスなどを燃やして大量の電気を生み出せますが、そのぶん燃料が必要です。

そして日本は、その燃料の7割以上を海外から買っています。

だから、世界で戦争が起きたり産油国でトラブルがあると、燃料の値段が上がり、その影響がそのまま電気代に跳ね返ってくるのです。

さらに、日本では太陽光や風力といった再生可能エネルギーがまだ十分に広まっていないため、燃料の価格変動に強くなるには時間がかかります。

それに加えて、電力会社は地球温暖化を防ぐためのCO₂削減対策や、原子力発電を安全に使うための新しいルールや設備にお金をかけています。

こうした環境対策や安全対策にかかる費用も、少しずつ電気代に上乗せされているため、結果的に家庭で払う電気代が高くなっているのです。

電気代高騰にはこのような背景があるため、エネルギーミックスや再生可能エネルギーの導入が重要なのです。

読者さま

専門家だけじゃなく、毎日の暮らしを考える私たちにとっても大切な話題なんですね!

環境問題への取り組みとして

3つ目のE:Environment

エネルギーミックスは、カーボンニュートラルを実現して未来の地球を守るためにとても重要です。

なぜなら、地球温暖化の大きな原因が、電気をつくるときに出るCO₂などの温室効果ガスだからです。

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることです。

1985年のフィラハ会議をきっかけに、地球の平均気温上昇は世界的な課題になりました。

現在も日本は電気の約8割を化石燃料に頼っており、特に石炭や石油を使う火力発電では大量のCO₂が排出されます。

もし今後も火力発電に頼り続けると、CO₂が増え続けて地球はますます暑くなり、異常気象や大雨、猛暑などのリスクが高まります。

そのため日本を含め多くの国は、温暖化対策としてカーボンニュートラルを目指しCO₂排出抑制の努力を進めています。

太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーを増やし、残ったCO₂は森づくりや新技術で吸収して、全体でゼロに近づけようとしているのです。

筆者

エネルギーミックスが、カーボンニュートラルを達成して未来の地球を守るための鍵になるのです!

日本のエネルギーミックスは今どうなってる?

最新のデータをもとに、いまの日本の供給構成と、これからの目標、世界の動きを解説します。

今のエネルギーの割合は

2025年のデータによると、2023年度時点での供給構成は以下のようになっています。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁 日本のエネルギー エネルギーの今を知る10の質問

化石燃料だけで約8割、非化石(原子力+再エネ)でも全体の2割なのです。

国が目指している目標は?

日本は2030年度に向けて、電力のつくり方を大きく見直す計画を進めています。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁 2030年度におけるエネルギー需給の見通し

この構成は、エネルギーの安定供給、安全性、環境への配慮、そして経済性という「S+3E」の原則に基づいています。

地球温暖化対策としてのCO₂排出削減とエネルギー安全保障の両立を目指したバランスの取れたものです。

また、この計画に沿って「地域脱炭素ロードマップ」や「地球温暖化対策の推進に関する法律」の改正などが進められています。

さらに、CO₂排出が少ないとされる水素やアンモニアを使った発電の活用など、さまざまな取り組みを通じて、持続可能なエネルギー社会の実現を目指しています。、

地域脱炭素ロードマップとは、地域ごとに脱炭素を実現するための行動計画です。

「地球温暖化対策の推進に関する法律」は2022年、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを加速させることを目的に改正されました。

世界の動き

日本だけでなく、125カ国・1地域で 2050年カーボンニュートラルを掲げ、再生可能エネルギーの導入を積極的に進めています。

ドイツ

電力の約半分をすでに再生可能エネルギーでまかなっており、2030年にはその割合を80%に高めるという目標を持っています。
石炭火力を段階的に廃止し、風力や太陽光を中心にした大規模なエネルギー転換「エネルギーヴェンデ」を推進しているのです。

スウェーデン

ヨーロッパの中でも特に環境意識が高く、2045年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げています。
すでに電力の約60%以上が再生可能エネルギーでまかなわれており、特に水力発電が大きな比重を占め、近年は風力の導入も急拡大しています。

アメリカ

連邦レベルで2050年カーボンニュートラルを掲げる一方、カリフォルニア州やハワイ州など、各州でそれぞれの風土にあった再生可能エネルギー政策に取り組んでいます。
インフレ抑制法(IRA)を通じて再エネへの投資を後押しし、州ごとの政策が大きな力を発揮しています。

世界各国でそれぞれの強みや状況を活かしながら、再生可能エネルギーの拡大とカーボンニュートラルの実現に向けて動き出しているのです。

家でもできる!エネルギーの工夫

読者さま

いろいろ分かってきたけど、でも結局、「国」の話でしょ?

筆者

そう思っちゃいますよね!
でも、そうとも限らないんです。電気代にも関わりますし、家でのちょっとした工夫で、エネルギーの使い方を変えることができるんです!

ここからは、今日からでもできることを紹介していきますね。

省エネの具体例

電気の使い方を少し見直すだけで、家計にも環境にもやさしい省エネができます。

簡単にできる省エネの一例
  • LED電球に変える:白熱電球に比べて消費電力が少なく、長持ちする。
  • エアコンの設定温度を見直す:夏は28℃、冬は20℃を目安にする。
  • 待機電力を減らす:使っていない家電のコンセントを抜く。
  • 洗濯はまとめて効率よく:水や電気の使用量を減らせる。
  • 冷蔵庫の詰め込みすぎを防ぐ:冷気が回りやすくなり、余計な電力を使わない。

こうした工夫なら、特別な知識がなくても家庭レベルですぐに始められます。

読者さま

これくらいなら家族みんなで出来るかも!

筆者

特別な知識がなくてもできますよね。
ちょっとした積み重ねが、家庭の電気代を抑えるだけでなく、地球にも優しくなるんです。

再生可能エネルギーの選択肢

省エネに加えて、電気をつくる側の選び方を工夫することでも、エネルギーミックスに貢献できます。

自宅に太陽光発電を導入する

ソーラーパネルを設置すれば、自分の家で使う電気をつくることができます。
余った電気を売る「売電」や、家庭用蓄電池と組み合わせて災害時の備えにすることも可能です。

電力会社を切り替える

 「再エネ100%プラン」や「地元の再エネを活用するプラン」など提供する電力会社が増えています。
 契約を切り替えるだけで、使う電気のバックグラウンドがよりクリーンなものに変わります。

選択を変えるだけでも、家計の範囲でエネルギーの応援が可能です。

未来の電力がよりクリーンで安定したものになるか、私たち一人ひとりの選択が大きな力になっていきます。

【まとめ】エネルギーミックスで持続可能な社会に

この記事ではエネルギーミックスについて簡単に解説しました。

エネルギーミックスとは、電気をつくる方法をひとつに頼らず、火力・水力・原子力・太陽光・風力などを組み合わせて、安定して電気を届けるしくみのことです。

エネルギーミックスが大切な理由
  • 日本は燃料のほとんどを輸入に頼っている
  • 日本は自然災害が多い
  • 電力が一つに偏ると、供給が不安定になったときリスクが大きい
  • リスクに備えた「エネルギーミックス」が重要
  • 世界でも電力のつくり方の見直しをしている

エネルギーミックスは、専門家だけでなく、日々電気を使う私たち全員に関わる大切な話題です。

家庭でできること
  • 省エネの工夫
  • 再生可能エネルギーを選べる電力会社への切り替え

家庭でできるほんの小さな行動でも、その流れを後押しすることができるのです。

ひとりひとりの意識と行動が、未来の電力をよりクリーンで持続可能なものへと変えていく力になります。

今日からできる小さな工夫を、ぜひ試してみてください。 

最後までお読みいただきありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次