クリスマス時期のドイツの伝統菓子、シュトーレン。
バターをたっぷり使い、生地にドライフルーツやナッツなどを練りこんだパン菓子です。
日本でも人気となり、どのシュトーレンを選ぼうか、毎年楽しみにしている方も多いですよね。
今年は手作りに挑戦してみたいと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
シュトーレンのレシピを調べてみると、マジパンを使用しているものが多いのではないでしょうか。
シュトーレンに入っているマジパンってなに?
なぜ必要なの?
マジパンが入っているシュトーレンを作るのは手間がかかりそうだし、手作りは難しそう…。
マジパンはシュトーレンをよりおいしくするために欠かせませんが、実は初心者でも一から手作りできます!
マジパンを手作りせずに購入するレシピや、マジパンなしでもシュトーレンをおいしく作れるレシピもあるんですよ。
この記事を読むと、シュトーレンにマジパンが入っている理由や、初心者でも手作りできる本格レシピがわかります。
マジパンとシュトーレンの関係を知れば、今すぐ作りたくなりますよ!
【シュトーレン】マジパンってなに?
マジパンと聞いても、ピンとこない方も多いのではないでしょうか。
ケーキの上にデコレーションされている、飾り菓子を思い浮かべる方もいるかもしれません。
マジパンは細工用としても使われますが、シュトーレンに使用されるマジパンは種類が異なります。
シュトーレンのスライス面を思い出してみてください。
真ん中に白あんのような、しっとりしたものが入っています。
それが、マジパンです。
マジパンはなにでできているの?
マジパンは、アーモンドの粉末と砂糖、卵白でできています。
材料を混ぜ合わせ、ペースト状にしたものがマジパンです。
マジパンの種類
マジパンには、大きく分けて次の2つの種類があります。
- マジパン・・・細工用。ケーキのデコレーションに使用。アーモンドと砂糖の比率を1:1とし、食用色素等で色をつけ使用される。
- マジパンローマッセ・・・焼き菓子やパンに混ぜこんで使用。アーモンドと砂糖の比率は2:1。ローマジパンとも呼ばれる。
シュトーレンに使用されるのは、2番目のマジパンローマッセです。
マジパンローマッセはアーモンドの比率が多いため、アーモンドの風味が強いことが特徴です。
本記事では、マジパンローマッセをマジパンとして話を進めます。
【シュトーレン】マジパンが入っているのはなぜ?
マジパンがどのようなものかわかっても、どうして入れなければいけないのかわからないですよね。
マジパンがシュトーレンをおいしくする理由や、本場ドイツでのお話をお伝えします。
マジパンはシュトーレンをおいしくする?
マジパンを入れることで、シュトーレンのおいしさはアップします!
シュトーレンにマジパンを入れる理由には、次の3つがあります。
- マジパンの水分が生地になじむことでしっとり感アップ
- アーモンドの風味と甘みがアップ
- 時間とともにマジパンが熟成され、コクがアップ
シュトーレンはクリスマス時期に4週間かけて食べられます。
マジパンを入れることで熟成が進み、毎日少しずつ旨味が増していくのです。
マジパンを生地に練りこんでいるか、包み込むだけかによっても違いが出ます。
練りこむ方が、よりしっとりとした食感になります。
本場ドイツではマジパンが欠かせない!
シュトーレンは14世紀のドイツでうまれました。
12月25日のクリスマスまでの4週間、イエスキリストの降誕を待つ期間に食べられていたことが起源とされています。
白い粉糖で包まれた見た目が、白いおくるみに包まれたキリストをイメージしているとも言われています。
シュトーレンの本場ドイツでは、シュトーレンのレシピに関するガイドラインがあります。
材料に対して、バターは3割以上の重さ、ドライフルーツは6割以上の重さなど、細かくルールが記載されています。
なんとこのルールを守らないと、製造者は販売できないのです!
シュトーレンはガイドラインにより、細かく6種類に分類されています。
- マジパンシュトーレン
- アーモンドシュトーレン
- ケシの実シュトーレン
- ナッツシュトーレン
- バターシュトーレン
- カードシュトーレン
「マジパンシュトーレン」は、「生地の5%以上の重さのマジパンを入れたもの」と決められています。
細かいルールを決めることで、シュトーレンの品質が守られているのですね。
本場ドイツでの、シュトーレンへの愛の深さを感じます!
【シュトーレン】マジパン入り!初心者にもおすすめのレシピ
本場ドイツでは厳格にルールが定められているシュトーレン、自分で作るには手間がかかるし難しそう…と悩んでいる方も多いかもしれません。
しかし初心者でも、シュトーレンをマジパンから手作りできるレシピがあります。
初心者にも挑戦しやすいおすすめのレシピをご紹介します!
マジパン手作り派のレシピ
マジパンの作り方を知れば、作ってみたくなりますよ。
マジパンから手作りするレシピを2つご紹介します。
レシピ1:パン作りのようにこねる作業もなくシンプルな工程で、初心者の方にもおすすめのレシピです。
主な材料 | ||
---|---|---|
生地 | マジパン | 仕上げ |
強力粉 アーモンドパウダー インスタントドライイースト 粉糖 塩 シナモンパウダー 牛乳 卵黄 バター フルーツミックス ラム酒 クルミ | アーモンドパウダー 粉糖 卵白 | バター 製菓用グラニュー糖 粉糖 |
準備
- フルーツミックスとラム酒を合わせ、1時間ほど起き水気を切る。
- クルミとアーモンドパウダーをオーブンでローストしておく。冷ました後、クルミは細かく割る。
- 本生地用バターは湯せんにかけ、牛乳と卵黄を混ぜ人肌に温めておく。
生地作り
- 材料を順に混ぜ合わせる。
- 常温で1時間発酵させる。
マジパン作り(発酵時間中に作る)
- ボウルにマジパンの材料を入れ、よく混ぜ合わせる。
- 20cmの棒状に伸ばし、ラップに包んで冷蔵庫で冷やす。
成形
- 生地を縦22cm×横20cmに伸ばし、上下を中央に向けて少し折る。
- マジパンを中央に置き、二つ折りにして形を整える。
焼成
- 170℃に予熱したオーブンで約40分焼く。
- 焼きあがったらすぐに、湯せんにかけていたバターを塗り、製菓用グラニュー糖を全体にまぶす。
- 生地が冷めたら、粉糖をふりかけ、ラップで包む。
マジパンが生地に馴染む2〜3日後からが食べごろ。
マジパンの材料がシンプルで揃えやすいですね。
マジパンは材料をすべて混ぜ、こねてまとめるだけで完成します!
いかがですか?
手間がかかりそうに感じていたマジパンは、意外と簡単に作れるのです。
生地作りの製法は中種法が一般的ですが、こちらのレシピではストレート法が使われています。
- 中種法・・・あらかじめ用意した中種(発酵生地)を本生地に混ぜ合わせる方法。生地作りを2回に分けて行う。
- ストレート法・・・通常のパン作りで多い方法。生地作りを1回で行う。
ストレート法の方が工程が少ないため、挑戦しやすいですね。
動画付きでわかりやすい点も、おすすめのポイントです。
シュトーレン作りが初めての筆者でも、本格的な味わいのシュトーレンを作れました!
レシピ2:作業自体がシンプルで、初心者にもわかりやすい工程のレシピです。
材料 | |||
---|---|---|---|
生地 | フィリング | マジパン | 仕上げ |
牛乳 ドライイースト 砂糖 ハチミツ 卵黄 強力粉 アーモンドプードル 塩 バター | 洋酒漬けドライフルーツ オレンジピール 好みのナッツ2〜3種類 好みのパウダースパイス2~3種類 | 卵白 粉砂糖 アーモンドプードル ハチミツ ラム酒 | バター 粉砂糖 |
準備
- 洋酒漬けドライフルーツは汁気をきる。
- ナッツは刻む。
生地作り
- 材料を混ぜ合わせ、しっかりこねる。
- オーブン発酵モードで1時間〜1時間半、生地が2倍になるまで発酵させる。(一次発酵)
マジパン作り
- 材料を全て混ぜ、こねる。
- ひとまとまりになったら丸め、ラップに包む。
成形
- 生地の空気を抜き、長方形に伸ばす。
- フィリングを生地の上に広げ、上下左右をたたみ、長方形に伸ばす。
- 生地の幅に合わせ棒状に伸ばしたマジパンを、生地にのせ巻きこむ。
- オーブンの発酵モードで30分〜1時間、一回り大きくなるまで発酵させる。(二次発酵)
焼成
- 170℃に予熱したオーブンで30〜45分焼く。
- 焼きあがった生地に溶かしバターを塗る。
- ラップに包み、1〜3日涼しい場所で休ませる。
- ラップを外し、170℃に予熱したオーブンで5〜10分焼く。
- 溶かしバターを塗る。※3回繰り返す。
- 冷ましてから、粉砂糖をたっぷり振りかける。
ラップを巻き2週間ほど涼しい場所に保管。冬場は2カ月保存可能。
こちらもマジパンはこねるだけで出来上がります。
生地作りはストレート法のレシピです。
全行程を写真付きで紹介しているので、ゆっくりレシピを確認しながら作れます。
レシピ1と大きく異なる点は、次の3点です。
- 生地をしっかりこねる。
- 二次発酵まで行う。
- フィリングを生地に混ぜず、包みこむ。
お好みのレシピを選んでみてくださいね。
マジパン購入派のレシピ
マジパンを購入して、シュトーレン作りのハードルをぐっと下げています。
材料 | |||
---|---|---|---|
中種 | 本生地 | 仕上げ | |
準強力粉 インスタントドライイースト | 準強力粉 塩 グラニュー糖 卵黄 マジパン バター カルダモンパウダー ナツメグパウダー 自家製漬け込みフルーツ アーモンドホイール | バター 粉砂糖 |
準備
- フルーツは粗く刻む。
- 160℃のオープンでローストしたアーモンドを粗く砕く。
- 本生地用バター、マジパンは常温に戻しておく。
中種作り
- 人肌程度に温めた牛乳にインスタントドライイーストを入れ、混ぜる。
- ボウルに準強力粉、①を入れ、混ぜる。
- 常温で1時間発酵させる。
本生地作り
- ボウルにマジパンとグラニュー糖3分の1量を入れ、混ぜる。
- 常温に戻したバターを少しずつ加え、すり混ぜる。
- 残りのグラニュー糖、塩を加え、白っぽくなるまでホイッパーでよく混ぜる。
- 卵黄を加え、クリーム状になるまで混ぜる。
- 準強力粉、スパイスを加え、切るように混ぜそぼろ状にする。
- 中種をちぎり入れる。生地をこね、均一にまとめる。
- 常温で30分休ませる。
- フルーツ類、ナッツを練りこむ。
- 再び常温で30分寝かせる。
成形
- 生地を2分割する。
- それぞれ楕円に伸ばし、端を少しずらして二つ折りにする。
焼成
- 180℃に予熱したオーブンで40分焼く。
- 焼き上がりの熱いうちに、とかしておいたバターをハケで塗る。
- 冷めたらピチッとラップで密閉する。冷蔵庫で保存する。
食べるときは、全体にたっぷり粉糖をかけ、スライスする。
マジパンを本生地に練りこみ、中種を加えて作る中種法のレシピです。
中種法はストレート法より手間がかかりますが、食感や香りが柔らかくなります。
マジパンを手作りする必要ないため、本格的な生地作りに時間をかけることができますね。
【シュトーレン】マジパンなしだとどうなるの?
マジパンが入ることで、シュトーレンはコクが増しおいしくなるとお話ししてきました。
しかし、マジパンが入っていないシュトーレンを目にすることもありますよね。
マジパンが入っていないと、シュトーレンはどんな味になるのでしょうか?
マジパンなしシュトーレンはどんな味?
シュトーレンにマジパンが入っていない場合、食感や風味が変化します。
マジパンが入っているシュトーレンは、熟成しながらしっとり感やコクが増していきます。
マジパンなしの場合、しっとりとした食感やコク、アーモンドの風味が感じにくくなります。
マジパンなしシュトーレンのメリット
マジパンなしシュトーレンのメリットは、値段が安くなることです。
アーモンドの価格も上がっているため、マジパン自体の価格も高額になっています。
マジパンなしでシュトーレンを手作りする場合、材料費を抑えることができます。
もう一つのメリットは、作業工程が少なくなることです。
マジパンを作ったり、練りこんだり包み込んだりする工程がなくなります。
初心者でシュトーレンを手作りしたい場合、工程が少なくなるのは嬉しいポイントですよね。
マジパンなしシュトーレンのレシピ
シュトーレンにマジパンを入れない場合、アーモンドの風味がなくなるのでは?と心配ですよね。
こちらのレシピでは、生地にアーモンドの粉末を練りこむことで、アーモンドの風味を感じることができます。
材料 | ||
---|---|---|
中種 | 生地 | 仕上げ |
準強力粉 インスタントドライイースト | 準強力粉 グラニュー糖 塩 皮無アーモンドプードル シナモンパウダー カルダモンパウダー 卵 バター アーモンドホイール フルーツミックス クルミ | バター グラニュー糖 粉砂糖 |
準備
- 本生地用準強力粉にスパイスを混ぜる。
- 本生地用バターは常温に戻す。
- フルーツは汁気を切る。
- アーモンドは160℃のオープンで12分ローストし、砕く。
中種作り
- ボウルに材料を入れ混ぜる。
- 生地がまとまるまで5分ほどこねる。
- 30℃くらいの場所で30分発酵させる。
本生地作り(中種の発酵時間が残り10分となったら作業開始)
- ボウルにバターを入れ、ホイッパーでクリーム状になるまで練る。
- グラニュー糖と塩を加え、白っぽくなるまで混ぜる。
- 卵を少しずつ加えて混ぜる。
- アーモンドプードルを入れ、切るように混ぜる。
- スパイスを混ぜた準強力粉を加え混ぜる。
- 中種をちぎり入れ、ひとまとまりになるまでこねる。
- 台の上に出し、中種が完全に混ざり生地が均一になるまで5分ほどこねる。
- ボウルに戻し、アーモンドとフルーツミックスをのせ、たたむ。
- 同じ作業を繰り返し、具材が生地に入ったら手でも揉みこみながら混ぜる。
- 具材が混ざったら、丸くまとめる。
- 28℃くらいの場所で40分ほど発酵せる。(一次発酵)
- 生地を取り出し2分割し、丸くまとめる。
- 布巾をのせ10分休ませる。(ベンチタイム)
成形
- 生地をめん棒で楕円形に伸ばす。
- 手前から折り返し、奥からも折る。さらに、二つ折りにする。
- 天板にのせ形を整え、28℃で30分発酵させる。(二次発酵)
焼成
- 180℃に予熱したオーブンで30〜40分焼く。
- すぐにハケでバターを塗る。何度も重ねてたっぷりと。
- グラニュー糖を全体にまぶす。
- 完全に冷めたら粉糖をたっぷりかける。ラップでぴったり包む。
冷蔵庫で2〜3日寝かせてからいただく。
中種法で作るため、食感や香りが柔らかくなります。
マジパン不使用でも、アーモンドの香り豊かで食感のよいシュトーレンになるよう工夫されたレシピです。
【シュトーレン】マジパンを入れる理由を知ってもっとおいしく!
マジパンとは、アーモンドの粉末と砂糖に卵白を加えて混ぜ合わせたペースト状のものです。
シュトーレンに使用されるマジパンは、マジパンローマッセと呼ばれるアーモンドの割合が多いものです。
マジパンを入れることで、シュトーレンはよりおいしく味わい深くなります。
マジパンを入れる理由には、次の3つがあります。
- マジパンの水分が生地になじむことでしっとりとした食感になる
- アーモンドの風味と甘みが増す
- 時間とともにマジパンが熟成され、コクが増す
マジパンを入れたシュトーレンには、初心者にも手作りできる本格レシピがあります。
マジパンの材料は揃えやすく、混ぜてこねるだけで完成します。
製法には中種法とストレート法があり、ストレート法の方が工程が少なく初心者にもおすすめです。
マジパンを作る手間が気になる場合は、購入したマジパンを使用することもできます。
どのシュトーレンを購入しようかと選ぶ時間も楽しいですが、今年のクリスマスはマジパンを使ったシュトーレン作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
手作りのシュトーレンを毎日少しずつ食べながらクリスマスを待つ時間は、特別で贅沢な時間になりそうですね。
あなたのクリスマスが、より一層楽しいものになりますように!
お読みいただきありがとうございました。
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