
人の不幸を「ざまぁみろ」と思ってしまう自分が許せない……



人の不幸を内心では喜んでいる自分って最低だな……
こんな風に、人の不幸を喜ぶ自分に対して自己嫌悪に陥り辛い思いをされていませんか?
多くの人は誰かの失敗を知って心の奥底ではホッと安心している自分なんて認めたくありません。
しかし実は、感情を抑え込んだり否定しない方が自己嫌悪から解放されるペースは早まるのです。
「ざまぁみろ」と思う感情の正体を知ると、冷静に自分の感情と向き合えるようになります。
今回ご紹介する内容は「ざまぁみろ」という感情に対するアプローチにとどまりません。
生きている中で感じる様々なネガティブな感情に対しても応用の利く考え方をお伝えしていきます。
この記事を自己嫌悪から抜け出すきっかけにして、あなたの心の健康を守っていきましょう!
「ざまぁみろ」と思う心理の正体


「ざまぁみろ」と人の不幸を喜ぶ感情は、心理学の分野において「シャーデンフロイデ」といいます。
ドイツ語で『Schaden(害)』+『Freude(喜び)』を意味する言葉です。
日本では「他人の不幸は蜜の味」と表現されることもあります。
人は他者の不幸によって「ざまぁみろ!」「当然の報いだ」と一瞬スカッとすることがあります。
その爽快感とは裏腹に「人の不幸を喜ぶなんて自分は最低だ」と自分を責め、自己嫌悪に陥る方も多いのではないでしょうか。
しかしシャーデンフロイデを感じて自己嫌悪に陥る必要はありません。
シャーデンフロイデは特別な感情ではなく、大なり小なり人間誰しも持ち合わせる感情だからです。
他者の不幸を喜ぶことで、自分の価値や存在意義を再確認しているのです。



傷ついたり落ち込んだ自分の心を守るために備わった本能ともいえますね。
「ざまぁみろ」と思う心理的背景


「ざまぁみろ」と思うことは誰にでもあります。
しかし、そう思ってしまうことに罪悪感を抱くのは、次のような心理が隠れているからです。
- 自尊心が低く自信がない
- 正義への信念が強い
- 競争心・嫉妬心が強い
こんな切実な心の叫びが「ざまぁみろ」という感情に結び付いています。
「ざまぁみろ」と思う心理的背景を知って、自分の深層心理まで深堀りしていきましょう。
自尊心が低く自信がない
自尊心が低く自信がない人ほどシャーデンフロイデを感じやすくなります。
他者と比較して劣等感を強く感じているからこそ、「あの人よりマシだ」と一時的に自分の価値が上がったような感覚になれるからです。
つまり、自分を慰める材料として他者の不幸を使っているのです。
自尊心が低く自信がない人は、こんな場面でシャーデンフロイデを感じます。
- 成績優秀な同級生が悪い点数を取った
→「やっぱりあの人も普通なんだ」と内心ほくそ笑む - SNSで幸せアピールをしていた人の離婚やトラブルを知る
→「承認欲求を満たすために必死で偽りの幸せをアピールしていたんだ」とあざ笑う - 自分を見下してきた相手の失敗を知る
→「人をバカにしていたからだ。いい気味だ」と喜ぶ
自尊心が低いために他者の不幸によって一時的に安心感を抱いているのです。
正義への信念が強い
正義への信念が強い人にもシャーデンフロイデが強く表れる傾向にあります。
人は「自分が正しい」と確信を持つことで生きやすくなるからです。
「良い行いをした人は報われ、悪い行いをした人は罰せられるべきである」という信念を持っています。
この信念により、悪い人が罰せられると自分の正義感が報われたような満足感を得るのです。
正義への信念が強い人はこんな場面でシャーデンフロイデを感じます。
- 芸能人が不祥事を起こした時
→「やはり世間の抱く完璧なイメージは嘘偽りの姿だったんだ」とスカッとする - 交通ルールを守らない運転手が事故に遭った時
→「当然の報いだ」と嬉しくなる
日々生きていると「自分の選択や考え方は間違っていたのか?」と自身の価値観や信念が揺らぎ不安になる場面に出会います。
そんな時に自分の心を支える手段としてシャーデンフロイデが現れるのです。
競争心・嫉妬心が強い
競争心や嫉妬心が強い人はシャーデンフロイデを抱きやすいといえます。
他者が失敗すると自分が有利になると考えるからです。
競争心の強い人は、他人に勝つことが自分の価値証明だと考えます。
嫉妬心が強い人は自分より恵まれている人に不公平感を感じているので、他者の失敗により「蓄積されていた不満が解消された」と考えます。
競争心・嫉妬心が強い人は、こんな場面でシャーデンフロイデを感じます。
- 成績優秀な同期がプロジェクトに失敗
→「所詮そんなもんだ」と喜ぶ - ライバルが大会や試験でミスをした
→「やっぱり自分の方が上だったんだな」と心が晴れる
一般的に内心抱いている競争心や嫉妬心は、あまり人に知られたくない感情です。
そんな「認めたくない自分」を守るために「ざまぁみろ」という感情で競争心や嫉妬心を消化しているのです。
「ざまぁみろ」の感情に振り回された人の迎える末路


「ざまぁみろ」と思うことに罪悪感を持つ必要はありません。
人間は誰しも人に認められたいし、自分の価値を確認したいものなので、そのままを受け止めていけばいいのです。
ただし、「ざまぁみろ」という気持ちに振り回されてしまうと、次のようなリスクがあります。
- 人間関係が悪化する
- 自己評価が下がる
- 人生の満足度が下がる
自分の今感じている感情を蔑ろにしていると大きな悪影響を及ぼしかねません。
自分の感情を見つめ直すためにも知っておきましょう!
人間関係が悪化する
シャーデンフロイデを頻繁に感じてしまうと人間関係が悪化する危険があります。
以下のような理由で人が離れていくからです。
- 共感力が低いために他者から警戒心を抱かれる
- 「この人に弱みを見せたらバカにされる」と敬遠される
- 精神的に未熟で幼稚な人だという印象を与える
例え「ざまぁみろ」と実際に言葉に発していなかったとしても、態度・表情・反応ににじみ出ているものです。
「気づけば自分の周りから人がいなくなっていた」ということがないように、シャーデンフロイデに飲み込まれないようにすることが大切です。
自己評価が下がる
シャーデンフロイデを感じすぎると自己評価が下がっていきます。
自分の価値を他者と比べることでしか自認できなくなるからです。
他にも以下のような悪影響があります。
- 他人の不幸を喜ぶ反面罪悪感にも襲われ自己否定に結び付きやすい
- 他者と比較して得る満足感は「自分の能力や努力による成功」ではないため自信に繋がらない
自分の努力や行動の原動力が他者基準になると、どれだけ頑張っても内側から自分を満たしてあげることができません。
人生の満足度が低くなる
シャーデンフロイデを頻繁に感じると人生の満足度が下がってしまいます。
誰かが下がることで得た喜びは、結果的に虚しさ・焦り・暗い自己像を強化させてしまうからです。
以下のような感情にも悩まされることになります。
- 孤立感が強くなり良好な人間関係を築きにくい
- 他者との比較が常習になり「何があっても満たされない」「まだ足りない」と慢性的な欠乏感に陥る
- 自分の存在価値が実感できず「自分が何をしたいのか」「何を大切だと感じるのか」がわからなくなる
他者の不幸を心の支えに自分を保とうとすると、いつまでも心が落ち着かず自分軸を見失っていきます。
「ざまぁみろ」と思う時の対処法


「ざまぁみろ」のようにネガティブな感情に飲み込まれそうになった時、どのような対処を行えば平穏な心を取り戻すことができるのでしょうか。
大切なのはシャーデンフロイデという感情との向き合い方です。
感情と向き合って上手にコントロールすることで、自身のことも現実も前向きに捉え直すことが可能になります。
「ざまぁみろ」という感情だけでなく、様々なネガティブな感情にも応用が利きますので参考にしてみてください!
自分の感情を否定せず寄り添う
自分の感情を否定せず寄り添うことは、心の回復と成長につながっています。
「ざまぁみろ」と感じることは悪ではありません。
その感情に気づき理解しようとする姿勢を持つことが大切です。
「こんな感情持つべきではない」と自分の感情を抑え込むと、体調不良や精神疾患など形を変えてSOSを発するようになります。
いづれ爆発して大きな怒りや攻撃性に変化してしまうこともあります。
自己否定から抜け出すためにおすすめしたいのが「セルフコンパッション」という方法です。
自分自身を大切に扱い、親友に接するように自身を労り優しい言葉選びをすること。
現実の自分をありのまま認めた上で、前向きに進もうとする態度のことを指します。
具体的な自分に対する声掛けとしては以下のようなものがあります。
- 「善悪を決めずに感じたままを言葉にしてみて」
- 「人間誰だってそんな風に感じることってあるよね」
- 「誰かと比べて疲れちゃったのかもしれないね」
- 「ちゃんと自分の感情に気づけて偉いぞ!」
「自分自身を大切に扱う」と言われてもいまいちピンときませんよね。
むしろ「自分を甘やかすor逃げる行為なのではないか?」とさえ思えるかもしれません。
しかし実はセルフコンパッションは、自分の弱さから逃げずに直視できる強さを持った人にしかできないことなのです。
筆者自身、暗い感情に飲み込まれている時は頭の中で自分への否定的な声掛けが止みませんでした。
「自分って最低」「こんな人嫌われて当然だ」と、頭の中で繰り返し批判してきたように思います。
しかしその負のループにいる限り前向きな考えも行動も生まれず、ますます苦しくなっていきました。
そこで出会った考え方がセルフコンパッションです。
「親友が同じ状況ならなんて声を掛ける?」と自問していると優しく抱きしめられている感覚が芽生えました。
すると少しずつ「どんな感情を抱いても大丈夫だ」と自分を許せるようになっていったのです。
自身を責める声に優しくブレーキをかけてあげられるもう1人の自分を見つけたことは、安心と心の余裕に繋がっています。
感じたことを否定せず寄り添うと、心が安心を取り戻します。
自然と「次はどうすればいいのか?」と考える改善意欲が湧いてくるのです。



自分に優しく接することは甘えでも逃げでもありません。
心が強い人こそが自分を自分で励ますことができるのです。
自分を客観的に分析する
「ざまぁみろ」という感情で支配されそうになったら自分を客観的に分析してみましょう。
感情に飲み込まれず一歩引いて自分を見つめることで、感情と距離を置くことができて心に余裕が生まれるからです。
この「自分の感情・考え・行動等をもう1人の自分が客観的に見つめる能力」のことをメタ認知能力といいます。
メタ認知能力を高めると以下のようなメリットがあります。
- 円滑なコミュニケーションと人間関係が構築できる
- 客観的な視点で冷静に物事を考えられるようになる
- 感情をうまくコントロールできるようになる
感じてしまったことを止めることはできませんが、「どのように向き合うのか」は選択が可能です。
客観的に自分を分析できる視点を持ち合わせると、感情に振り回されず上手に扱えるようになれます。
前向きになるきっかけと捉える
例え妬みや嫉妬からくる暗い感情だったとしても、前向きになるきっかけと捉え直すことで良い方向に進んでいけるでしょう。
あなたが感じたどんな感情も「何かを教えてくれるサイン」だからです。
- なぜそんな感情に至ったのか
- 感情の奥にどんな願いや本音が隠れているのか
- 本当はどんな行動を望みどんな自分でいたいのか
感じた感情をきっかけに自己理解と成長の機会にしていくことが可能です。
人間は、マイナスの感情の方がプラスの感情よりもエネルギーが強く湧くのだそうです。
暗い感情を原動力に変えて前向きになれるか否かは、あなたのありのままの感情を否定せず読み解いていくことから始まります。
【まとめ】「ざまぁみろ」を前向きな感情や行動に変換していこう!
今回は「ざまぁみろ」と思う心理と対処法についてご紹介しました!
「ざまぁみろ」という感情は心理学においてシャーデンフロイデといいます。
シャーデンフロイデは人間誰しも持ち合わせる感情であり、傷ついたり落ち込んだ自分の心を守るために備わった本能といえます。
「ざまぁみろ」と思う心理的背景は以下のものでした。
- 自尊心が低く自信がない
- 正義への信念が強い
- 競争心・嫉妬心が強い
「ざまぁみろ」の感情に振り回されると、以下のようなリスクがあります。
- 人間関係が悪化する
- 自己評価が下がる
- 人生の満足度が低くなる
「ざまぁみろ」と暗い感情に飲み込まれそうになった時も不安になることはありません。
以下の対処法を実践して冷静に自分の感情と向き合いましょう。
- 自分の感情を否定せず寄り添う
- 自分を客観的に分析する
- 前向きになるきっかけと捉える
「ざまぁみろ」という感情はあなたの本音に気づく入口です。
暗い感情を否定したり蔑ろにするのは逆効果なので、まずは人間の自然な感情であることを優しく受け止めてみてください。
どんな感情からも逃げずに向き合おうとする姿勢は自分の心に安心感を与え、「何を感じても大丈夫な自分」になる手助けをしてくれます。
心のしなやかさを手に入れると、ネガティブな感情も自然と前向きな感情や行動に変換できるようになります!
感情に振り回されて自己嫌悪に陥る自分から、どんな感情も活かせる自律した自分を目指しましょう。
本記事が少しでもお役に立てていれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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