カフェめぐりをしていると、こんなうわさを耳にしませんか?
「サイフォン式コーヒーはまずい」
SNSで「まずい」という言葉を目にすることもよくあります。
……でも、この記事に辿り着いたあなたは、ただうわさを信じるタイプの方ではないはず。

飲んでもいないのに「まずい」だなんて言いたくない!
でも、どうしてそんなことを言われてしまうのかしら?



味は個人の好みですもんね。
よく知らないまま人の意見をうのみにしない、それすごく大事です!
サイフォン式はどうして「まずい」と言われてしまうのか、その理由を抽出方法から探ってみました。
ぜひ最後まで読んでみてください!
サイフォン式コーヒーがまずいと言われる理由


理由を知るために、まずはサイフォン式コーヒーの抽出方法を押さえましょう。
- フラスコ部分に水を入れ、ロートにフィルターをセットして豆(粉)を入れます。
- フラスコをスタンドに取りつけ、下から熱します。
- 沸騰したら自然にロートの方へ湯が上がって来るのを待ち、上がり切ったところで切るように混ぜてから、豆がお湯に馴染むようにゆっくりと攪拌(かくはん)します。
- 湯が上がり切ったら30秒~1分待ち、火を消します。
- 火を消したら、自然にコーヒーがフィルターで漉されながら降りて来るのを待ちます。
- カップに注いで完成です。
サイフォン式最大の特徴は、沸騰したお湯で抽出することです。
コーヒーの抽出温度は90度ぐらいが最適と言われています。
ですが、サイフォン式は沸騰した湯=100度で抽出しています。
ここに、サイフォン式コーヒーがまずいと言われる一因があります。
淹れ方で変わる抽出成分
コーヒーは、抽出温度が高くなると酸味が飛びやすくなり、代わりに苦みが目立つようになります。
豆からは油分が出やすくなります。
つまり、100度で淹れるサイフォン式のコーヒーは、飲む人によっては「苦いし嫌な後味が残る」コーヒーになってしまうのです。
サイフォン式のお店が少ない理由
「サイフォン式コーヒーのお店が少ないのはまずいからだ」と思っている人もいます。
どうしてサイフォン式コーヒーのお店は少ないのか、それにはいくつか理由があります。
- フラスコやロートがガラスでできており、壊れやすい
- 器具が場所をとる
- 淹れるのに10~15分かかるため、お客様を待たせてしまう
つまり、サイフォン式コーヒーは味で選ばれないのではなく、抽出方法から選ばれにくくなっているということなのです。
喫煙できるお店の存在
サイフォン式コーヒーのお店は古くから営業しているところが多いからか、店内喫煙可のお店をよく見かけます。
分煙されていないこともしばしば。
たばこのにおいが嫌いな方が、コーヒーの味を充分に楽しめず「まずい」と決めつけてしまっている場合もありそうですね。
サイフォン式と比べてみよう!コーヒーの入れ方いろいろ


コーヒーの抽出方法は「透過式」と「浸漬(しんし)式」に分かれます。
透過式は豆に湯または水を注いで漉す方法。
浸漬式は湯または水に漬けてから漉す方法です。
代表的な淹れ方をいくつかご紹介しましょう。
なお、ここに上げた抽出法は全て、豆は挽いて粉状にしたものを使います。
透過式:王道のドリップ式
ドリッパーにペーパーフィルターをセットし、そこに挽いた豆を入れて上から湯を注ぐ方式です。
苦みが少なく酸味の残りやすい抽出方法で、ブラックで楽しむのにも向いています。
ドリップパックなども売られていて、おうちで手軽に楽しめます。
注ぎ方・湯の温度などでブレが生じやすく、毎回同じ味を出せるようになるには練習が必要になりますが、豆と水をセットすれば自動で淹れてくれるコーヒーメーカーも多数販売されています。
透過式:有名チェーン店も採用するエスプレッソ式
蒸気の圧力によって、一気に豆の成分を抽出する方法です。
微細な粉になるまで挽いた豆を使う事も特徴のひとつ。
抽出されたコーヒーはかなり濃く、苦みも油分も多いため、たっぷり砂糖を入れてもクリームを盛っても負けない強い味と香りが特徴で、様々なトッピングやアレンジが楽しめます。
専用のマシンが必要ですが、抽出時間が短く淹れる人による味のブレも少ないため、世界的なコーヒーチェーンでも採用されています。
透過式も浸漬式もあり:夏に人気のコールドブリュー式
いわゆる水出しコーヒーで、抽出方法は2通りに分かれます。
ひとつは豆を水に漬け、冷蔵庫で1晩かけて浸漬式で抽出する方法。
もうひとつは豆の上から水を一滴一滴たらし、3~8時間をかけて透過式で抽出する方法です。
抽出温度が低いため、豆の苦みや油分が出にくく、クリーンな味になります。
氷を入れてアイスコーヒーで楽しむのがおすすめです。
浸漬式:自宅で簡単!フレンチプレス式
フレンチプレス式は、専用のポットに豆を入れ、お湯を注いで金属のフィルターで漉す抽出方法です。
気軽に豆本来の味を楽しめる方法で、「厚みのある味」と表現する人もいます。
専用のポットはスマートで、場所もそれほど取りません。
おうちで気軽に楽しめる抽出方法のひとつと言えます。
浸漬式:見ているだけで楽しい!サイフォン式
ロートとフラスコを使って淹れる、まるで科学の実験のような抽出方法です。
実はサイフォンの原理ではなく、蒸気圧を利用した方法です。
まずフラスコに水を入れ、アルコールランプで下から温めます。
沸騰したらフィルターをセットして豆を入れたロートを差し込んで立てます。
湯が上がって来るのを待って、木べらで攪拌(かくはん)します。
フラスコを火からおろすと、自然にコーヒーがロートから下のフラスコへと移動します。
抽出温度が高いため、香りが強く、酸味が少なく、苦みが多くなります。
一気に漉すため、すっきりとした味になります。
コーヒーの油分もドリップ式より多く出るので、少しトロリとした口当たりを感じる人もいます。
サイフォン式コーヒーをおうちで楽しむ方法





話を聞いて、サイフォン式コーヒーに興味がわいてきたわ。
お店が近くにないから、家で淹れられたらいいんだけど。



もちろん、自分の家で淹れることもできますよ!
器具も売られていますし、チャレンジしてみてはいかがですか?
器具をそろえて楽しもう
このサイフォンを販売しているのは、日本で初めてサイフォン式コーヒー器具を開発した会社、その名も「珈琲サイフォン株式会社」です。
コーノ式の名は、初代社長の河野 彬氏にちなむもの。
知る人ぞ知る名品で、個人ユース用にペーパーフィルターもあるので便利です。
コーヒー器具といえばのHARIO。多くの喫茶店で採用されている安心のブランドです。
数種類発売されているので、自分が欲しいサイズのものを選べます。
こちらもペーパーフィルターあり。
安心の国産メーカー。熱源が電気でお手軽です。
造りは至ってシンプルで、サイフォン式器具のかっこよさがそのまま生きています。
ろ過フィルターがネルなので保管の手間がかかりますが、サイフォン式本来の味が楽しめます。
家にあるもので再現したい!


器具を買って試すのは、ハードルも予算も高いですよね。
そこで筆者が実際にやっている、サイフォン式に近い淹れ方ができる方法をひとつご紹介します。
【用意する器具】
・小さめの片手鍋
・木製スプーン
・ドリッパー
・コーヒーフィルター
・マグカップ
・小皿
【手順】
①コーヒー豆(粉)を小皿に計る(10~15g、お好みで)
②マグカップの上にフィルターをセットしたドリッパーを乗せる
③小さめの片手鍋に水200mlを測って入れ、火にかけて沸騰させる
④沸騰したら中火にし、小皿に計っておいたコーヒー豆を投入
⑤すぐに湯と豆を馴染ませるよう、木製スプーンで前後に切るように混ぜる
⑥火を止めて蓋をし、鍋を優しく3~4回まわして攪拌
⑦30秒~1分待つ
⑧②でセットしたドリッパーに一気に注ぎ淹れて漉す
この方法で淹れると、香りは弱くなりますがサイフォン式コーヒーに近い味を楽しむ事ができます。
ドリップ式と飲み比べてみてはいかがでしょうか?
サイフォン式コーヒーが楽しめるお店


やっぱりプロのサイフォン式コーヒーが飲んでみたい、となったらお店へ足を運びましょう!
サイフォン式コーヒーが飲める喫茶店を、ほんの少しだけご紹介します。
- COFFEE HOUSE Dalicup(デリカップ)/東京・錦糸町駅
- CAFE’ LAERESA(ラフレッサ)/東京・新日本橋駅
- アデリータ/横浜・綱島駅
- cafe コロボックル/横浜・天王町駅
- 珈琲舎 羅羅(らら)/大阪・長堀橋駅
- リヴォリ/大阪・北浜駅
- 神戸齋藤珈琲店/神戸・王子公園駅
- ポエム/神戸・みなと元町駅
意外と近所の古びた喫茶店がサイフォン式だったりすることも……。
調べてみれば、あなたの行動範囲にもサイフォン式コーヒーのお店があるかもしれません。
ぜひ一度、本物を体験しにお店へ足を運んでみてください!
サイフォン式コーヒーを楽しむ、とは
いつものではない豆を買って「失敗した……」とがっかりしたことはありませんか?
コーヒーの味を決めるのは、豆の種類や焙煎方法だけではありません。
抽出方法によっても様々な味が楽しめるのがコーヒーの魅力です。
サイフォン式コーヒーを楽しむことは、その豆の別の一面を楽しむことです。
そうすれば、失敗した買い物も成功に変わるかもしれませんよ?
ドリップだけじゃもったいない!
この記事が、コーヒーへの視点を変える一歩になりますように……。
みなさまに楽しいコーヒーライフを!
他にもコーヒーの知識を知りたくなったら、こちらの記事をどうぞ。












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