「エシカル消費」ってよく聞くけど具体的に何をすればいいの?
こんな風に「エシカル消費」という言葉はなんとなく知っていても、実際に何をしたらいいのかわからず行動に移せていない方は多いのではないでしょうか。
筆者もそのひとりでした。
しかし、エシカル消費について正しい知識を持ち日常生活を送るようになってからは、驚くほどエシカルな商品や活動が目に止まるようになりましたよ!
まだ少しではありますが、日常にエシカル消費を取り込むようにもなりました。
長年にわたる人類の大量生産・大量消費の生活は、資源の枯渇や自然環境への悪影響を引き起こしてきました。
この問題の解決の糸口になるのがエシカル消費です。
本記事では明日から実践できるようなエシカル消費の身近な取り組み事例についてご紹介します。
「既にエシカル消費をしていたのか」「こんな簡単なことで誰かのためになれるんだ」とエシカル消費を身近に感じていただけるようにお伝えしていきますね。
エシカル消費とは?
エシカル消費とは「人・社会」「地域」「環境」に配慮した消費行動のことです。
エシカル(ethical)の意味は「倫理的」「道徳的」。
環境問題や社会問題に配慮して、より良い社会の実現を目指す考え方・行動を指す言葉として広く知られています。
価格の安さだけで商品を選ぶのではなく、商品が私たちの手に渡るまでの背景まで思いを巡らせて購入を検討します。
商品がどのように作られているのか?生産の過程で人や環境に不利益がないか?などを考えると、商品のまた違った側面が見えてきますよね。
「人・社会」「地域」「環境」に配慮して、今ある社会的課題を解決していくことがエシカル消費の目的といえます。
エシカル消費の身近な取り組み事例
さっそくエシカル消費の身近な取り組み事例について詳しく見ていきましょう!
エシカルな消費行動がどのようないい効果をもたらすのかまでご紹介します。
きっと「これならやってみよう!」と思える事例に出会えますよ。
フェアトレード商品の購入
フェアトレードとは「公正・公平な貿易」という意味。
私たちが安くて便利な商品を購入できる背景には以下の問題が隠れています。
- 開発途上国の低賃金労働
- 児童労働による教育を受ける権利の損失
- 生産性を上げるための過剰な農薬使用による環境破壊
開発途上国の方たちがなかなか貧困から抜け出せない深刻な問題ですよね。
開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続して購入することで、生産者や労働者の生活を守り自立を支援する貿易の仕組みをフェアトレードといいます。
実はコーヒー・チョコレート・バナナ・コットン製品など、日本国内では現在約1,500ものフェアトレード商品が流通しているのです。
以下の「国際フェアトレード認証ラベル」のマークが目印です。
見つけた際には商品を手に取ってみてくださいね。
障がい者支援につながる商品の購入
障がいのある方の作った商品の購入や、障がい者支援に力を入れている企業の商品の購入はエシカル消費につながります。
改善はされてきているものの、まだまだ雇用機会は少なく賃金が低いのが現状です。
障がいのある方の雇用機会を創出することができれば、社会復帰や収入の増加などが見込めます。
私たちが商品を購入することで障がいのある方が自立して活躍される未来に貢献することができるのですね。
「支援」の枠を超えて、障がいのある方が作られた魅力的な商品を積極的に販売されているお店も増えています。
買い物は一期一会。
意識してみると素敵な商品に出会えるかもしれないですね!
応援消費をする
応援消費とは、生産者やサービス提供者への応援を込めた買い物のことをいいます。
2011年に起こった東日本大震災で被害を受けた地域の農産・海産物の積極的購入が話題になったことがきっかけで、応援消費は広がっていきました。
応援の仕方は様々で、以下にいくつかご紹介します。
- 風評被害を受けた地域や企業の商品を購入する
- 大量廃棄になってしまう商品を購入する
- 売上不振の飲食店に食べに行く
- 自然災害で訪問客が激減した観光地を訪れる
- ふるさと納税をする
様々な方法がありますが、共通するのは「誰かの力になりたい」という思いが消費行動の原動力であること。
誰かの役に立てた経験は、私たちの心も豊かにしてくれますね!
地産地消
地元で採れた農林水産物を積極的に購入することも、エシカル消費のひとつです。
私たち消費者にとっては、近くで採れるため新鮮でより安価に食材を手に入れることができます。
農林水産物の輸送距離を短縮することで温室効果ガスの排出を抑えることができ、環境にとってもエシカルな消費行動だといえますね。
その地域で作られた農産物や加工品が、直売所や道の駅で販売されているのもよく見かけるようになりました。
ぜひ、お出かけの際には立ち寄ってその土地でしか味わえない商品を購入してみてください。
エコバックやマイボトルの利用
レジ袋やテイクアウト飲料のカップなど、「使い捨てできるもの」によく使用されるプラスチック。
プラスチックの問題は深刻で、以下の弊害をもたらしています。
- 燃やすと地球温暖化の原因である温室効果ガス(CO2)を多く発生
- プラスチックの原料である石油資源の枯渇
- 正しく廃棄されなかったプラスチックごみの海への流出汚染
- 海に住む生き物がプラスチックを体内に取り込んでしまうことによる生態系への悪影響
海の生き物を食す私たちの人体にも悪影響を及ぼす危険性もありますよね。
そこで推奨されているのがエコバッグやマイボトルの利用です。
既に生活に取り入れられている方も多いのではないでしょうか。
エコバックやマイボトルの利用は、海の生態系や私たちの暮らしを守るエシカル消費といえます。
自分のお気に入りのデザインを見つけて楽しく取り組めると素敵ですね!
エシカルマーク(認証マーク)がついている商品を選ぶ
エシカルマーク(認証マーク)とは、商品やサービスが環境に配慮しているかを伝えるシンボルマークのこと。
たくさんあるエシカルマークの中でも身近に感じるマークをいくつかご紹介します。
エコマーク
商品の採算から処分までのサイクルの中で環境保護をしていると認められた商品に表示。
(表示商品例)ノート、トイレットペーパー
リサイクルマーク
容器包装リサイクル法に則り、分別ルールを守って処分できるように表示。
(表示商品例)ペットボトル、紙パック、包装紙
有機JASマーク
農薬や化学肥料なのど化学物質に頼らない生産を基本とした食品に表示。
(表示商品例)ストレスを与えずに育てられた家畜物
グリーンマーク
原料に原則40%以上の古紙を利用していることを示す。
(表示商品例)コピー用紙、ティッシュペーパー
バイオマスマーク
生物由来の資源(バイオマス)を利用した商品に表示。
(表示商品例)ポテトチップスの包材
MSC「海のエコラベル」
持続可能な漁業で獲られた天然の水産物に表示。
(表示商品例)マクドナルドのフィレオフィッシュ
あなたの手に取った商品にもエシカルマークが付いているか確認してみてくださいね。
ご自身のできる範囲で十分です◎
ぜひ商品を購入する際の選ぶ基準の1つにしてみてください。
食品ロスの削減
食品ロスとは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。
日本の食品ロスの量は年間約472万tで、1人当たりは年間約38㎏。
1日に換算すると103g(おにぎり約1個分)を捨てていることになります。
家庭だけでなくスーパーや飲食店から出る食品ロスも大きな問題です。
では私たちにできることは何でしょうか。
以下で食品ロス削減のためにできる行動をご紹介します。
- 商品の手前取り
- 必要な分を必要なだけ購入
- 買い物前に冷蔵庫や食品庫にある食材の在庫確認
- 劣化を防ぐために適切に食材を保存
- 飲食店では食べきれる量を注文して食べ残しをしない
ひとつひとつは小さな行動ですが、ひとりひとりが行動すれば食品ロスの削減に大きく貢献できることでしょう。
食材そのものや生産に携わった方々への感謝の気持ちも忘れないようにしましょう!
地域のルールに沿ったごみの分別の徹底
適切なごみの分別は、リサイクル効率の向上や資源の無駄を防いでくれます。
日本はごみの埋め立て地が限られており、このままごみの量が減らなければ2050年を前に処分場がいっぱいになってしまうという現状です。
ごみの出し方については地域で独自のルールがあるので、正しいごみの分別方法を知って適切な分別を行っていきましょう!
節水・節電でエネルギー消費の削減
節水と節電は、エネルギーと水の供給安定性を確保するためにとても大切です。
特に自然災害の多い日本においては、いつ電力や水の供給が途絶えてしまうかわかりません。
日頃からの節水・節電への意識が必要不可欠です。
また地球環境だけでなく、経済的負担が軽減されるため家計にとっても優しい行動といえますよね。
節電・節水の具体的な方法は以下にご紹介します。
- 家電を使用しない時はプラグを抜く
- LED電球への切り替え
- エアコンの温度を適切に設定
- 窓やドアの断熱強化
- 食器を洗う時は水を出しっぱなしにしない
- 食器の予洗い
- 節水型の蛇口やシャワーヘッドを使用
家族で節水・節電の意識共有を行えば、より効果が期待できそうです。
簡易包装の商品を選ぶ
日本は過剰包装の傾向が強く、製品を保護するための包装を超えて必要以上の資源を使っています。
廃棄物の増加に加え、処理をするときも環境に負荷をかけることになります。
簡易包装に積極的に取り組まれている企業の商品を選択していくことが、私たち消費者ができるエシカル行動と言えますね。
取り組み事例を見て、意外とエシカルな消費行動をしていた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
身近なことからでいいのです!
エシカルな消費行動ができた時には、ぜひ「自分の行動が誰かや何かの役に立っているんだ」と自分を褒めてあげてくださいね♪
エシカル消費の問題点
私たちの暮らしを守っていくためにはエシカル消費が必要不可欠であることがわかりました。
しかし日本ではあまり浸透していないのが現状なのです。
日本にエシカル消費が広まらない理由は以下の4つが考えられます。
- 価格が高い
- 認知度が低い
- エシカル商品の知名度が低い
- 認証マークの取得が困難
1つずつご紹介していきます。
1.価格が高い
価格が高くなってしまう理由は以下のことが原因です。
- 正当な人件費を確保するために商品の価格を下げることが難しい
- 大量に生産することが困難で管理するために大きなコストがかかる
生産者側も消費者側も経済的負担が大きくなってしまいます。
2.認知度が低い
日本におけるエシカル消費の認知度は徐々に上向き傾向ではありますが、まだまだ浸透していないのが現状です。
「エシカル消費」という言葉を知っている程度の人が多く、意味を理解し実践できる人を増やすことが課題と言えます。
3.エシカル商品の認知度が低い
私たちが普段使うような小売店では、エシカル商品を取り扱っていることは少ないのが現状です。
通販やエシカル商品を取り扱う専門店もありますが、常日頃エシカル商品を身近に感じ気軽に手に取ることは難しいでしょう。
4.認証マークの取得が困難
認証マークの取得には手間とコストがかかってしまいます。
認証の条件を満たしていてもマークを取得せず販売しているケースも。
エシカル商品の認知度の低さも相まって、コストをかけて販売してもなかなか売れないという悪循環に陥ってしまうという課題もあります。
エシカル消費とSDGsの関係
エシカル消費に取り組むと、SDGsの様々な目標に貢献することにつながります。
SDGs(SDGs:Sustainable Development Goals)とは持続可能な開発目標のこと。
2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す17の国際目標です。
地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。
エシカル消費は、SDGsの17の目標の中でも特に目標12の「つくる責任 つかう責任」に深く関係しています。
私たち消費者が積極的にエシカルな商品やサービスを選ぶことで、企業側もニーズに応える形でエシカルな商品やサービス提供が増えていくことでしょう。
この循環が持続可能な社会の実現につながります。
日常の何気ない消費行動にエシカルを取り入れることで、貧困や飢餓などの世界的課題や環境問題の解決に貢献することになるのですね。
一人ひとりのほんの少しの良い選択が、持続可能な社会の実現への大きな力となるのです。
「サステナブル」と「エシカル」は似た言葉で、人や環境への配慮を重視し、よりよい社会を目指すための考え方であることが共通点。
2つの違う点は、「サステナブル=社会全体として持続可能な社会を目指すこと」を重視する一方で、「エシカル=個人としての倫理的な行動」を重視する点。
サステナブルな社会をつくっていくためには個人のエシカルな行動が重要なので、2つは補完関係にあるといえます。
エシカル消費の取り組み事例から学ぶ私たちにできること
エシカル消費とは「人・社会」「地域」「環境」に配慮した消費行動のこと。
商品が私たちの手に渡るまでの背景に目を向けることがエシカルな消費行動につながります。
エシカル消費の身近な取り組み事例は以下の通りです。
- フェアトレード商品の購入
- 障がい者支援につながる商品の購入
- 応援消費をする
- 地産地消
- エコバッグやマイボトルの利用
- エシカルマーク(認証マーク)のついている商品を選ぶ
- 食品ロスの削減
- 地域のルールに沿ったごみの分別の徹底
- 節水・節電でエネルギー消費の削減
- 簡易包装の商品を選ぶ
日本でエシカル消費が広まらない理由は主に4つあります。
- 価格が高い
- 認知度が低い
- エシカル商品の知名度が低い
- 認証マークの取得が困難
エシカル消費に取り組むと、SDGsの様々な目標に貢献することにつながります。
特に目標12「つくる責任 つかう責任」とエシカル消費は深く関係しています。
たくさんエシカル消費についてお伝えしてきましたが、全ての消費をエシカルなものに変えるのはハードルが高いですよね。
大切なのはエシカル消費について正しく知り、日常生活に無理なく取り入れること。
「自分一人が取り組んだところで何も変わらない…」と思うこともあるかもしれません。
しかし、その小さな良い選択と行動の積み重ねが、未来の社会や環境を守ることにつながっているのです。
ひとりひとりが「人・社会」「地域」「環境」に配慮しつつも、自分に合った消費の選択基準を見つけて豊かな暮らしを実現していきたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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