突然の大雨でびっくりしたことはありませんか?
それは「ゲリラ豪雨」と呼ばれる現象です。
でも、「どうしてこんなに突然、激しい雨が降るの?」と不思議に思ったことはありませんか?
この記事では、ゲリラ豪雨が起こるしくみを図でわかりやすく紹介し、気づかないうちに近づく“危険な空”のサインについても見ていきます。
突然のゲリラ豪雨、なぜ起こるの?

ニュースなどでよく聞く「ゲリラ豪雨」ってなんのこと?
そして、なぜ、こんなに急に雨が降るのでしょうか?
まずは、雨とゲリラ豪雨について見ていきましょう。
雨が降るしくみって?
雨や雪は雲から降ってきます。雨が降るしくみを順番に見ていきましょう。

海や川、湖などの水が太陽の熱で温められ、水蒸気として空気中にのぼります。
暖かい空気は軽いため、上にのぼります。上空にのぼると、気温が下がっていきます。
上空で冷やされた水蒸気が、チリやほこりを核にして水滴や氷の粒になる。
→ これが「雲(くも)」の正体です。
水滴や氷の粒がぶつかってくっつき、大きくなります。
大きくなった水滴や氷が雨や雪として地上に落ちてくる。
これが「雨が降る」という現象です。

空気中の水蒸気が冷やされて水滴になるという自然のサイクルで雨は降るんですね。
「ゲリラ豪雨」ってどういう雨?
「ゲリラ豪雨」とは、短時間に狭い範囲で非常に激しい雨が降る現象のことです。
通常の雨 | ゲリラ豪雨 | |
---|---|---|
発生のしくみ | 広い範囲の雲(前線や低気圧)によって ゆっくり雨が降る | 小さな積乱雲が急に発達して、狭い範囲に強い雨を降らせる |
範囲 | 広い範囲 | 狭い範囲 |
降る時間 | 数時間~1日ほど | 数十分〜1時間程度 |
雨の強さ | 弱い〜中くらい(しとしと・ザーザー) | 非常に強い(バケツをひっくり返したような雨) |
予測のしやすさ | 天気予報で比較的予測しやすい | 突発的で予測が難しい |
普通の雨は「広く・長く・穏やかに」、ゲリラ豪雨は「狭く・短く・激しく」という特徴があります。
ゲリラってなに?激しい雨がおこる仕組み


ニュースでよく耳にする「ゲリラ豪雨」。でも、この“ゲリラ”って、いったいどんな意味なのでしょうか?
激しい雨の仕組みについて見ていきましょう。
なぜ「ゲリラ豪雨」っていうの?正式名称は?
「ゲリラ豪雨」の“ゲリラ”は予告なしに突然攻撃をしかける戦い方「ゲリラ戦」からきています。
雨が「予告なしに」「突然」「局地的に」降る様子が、まるで“ゲリラ攻撃”のようだというイメージからです。
「ゲリラ豪雨」は気象庁の正式な用語ではなく、突然降る激しい雨をわかりやすく表した言葉なんです。
ゲリラ豪雨の気象庁用語は「局地的豪雨」「局地的大雨」「集中豪雨」と表現されています。
正式な防災情報や予報で「ゲリラ豪雨」といわれることはありません。
ゲリラ豪雨の仕組み
ゲリラ豪雨には「積乱雲」という雲の発生により起こります。


入道雲も積乱雲のひとつで、もくもくと高く盛り上がる形が特徴です。
この雲は下の方は黒っぽく、上の方は白く見え、雷やゲリラ豪雨を引き起こすのです。



積乱雲はどうやってできるの?


通常の雲(層雲など)は、ゆるやかな上昇気流が冷やされ雲が平たく広がるのに対し、
積乱雲は、暑く湿った空気が一気に上昇し短時間で雲が発達、縦に高く伸び、激しい雨や雷雨になるのです。
「線状降水帯」との違いは?
大雨や豪雨でも、「線状降水帯」といわれる雨をニュースなどで聞くことがありますよね?
強い雨でも「ゲリラ豪雨」と「線状降水帯」では、どんな違いがあるのでしょうか?


ゲリラ豪雨 | 線状降水帯 | |
---|---|---|
発生のしくみ | 積乱雲が単独で急発達 | 積乱雲が次々と並んで 帯状に連なる |
雨の範囲 | 数km~数十kmの 狭い範囲 | 数百kmにおよぶ 広い範囲 |
降る時間 | 数十分~1時間程度 | 数時間~半日程度 |
雨の強さ | 局地的に非常に強い | 広い範囲で強い雨が続く |
被害の特徴 | 短時間の冠水・落雷・ 突風 | 河川の氾濫・土砂災害など大規模被害 |
予測のしやすさ | 難しい | ある程度予測可能 |



ゲリラ豪雨はピンポイントで激しい雨、線状降水帯は広い範囲で長く強い雨という感じですね!
発生しやすい条件とは?





積乱雲が発生しやすいのはいつ?季節も関係あるの?
大雨を降らせる積乱雲。いつ発生するのでしょうか?
積乱雲が発生しやすい季節や時間について解説します。
ゲリラ豪雨に季節や時間は関係ある?
ゲリラ豪雨が発生しやすい条件は以下のとおりです。
- 地表の気温が高い
- 湿度が高い
- 上空の気温が低い
強い日差しで地表付近の気温が上がり、強い上昇気流が発生します。
雲は、空気中に水蒸気が多いほど、発達しやすくなります。
暑く湿った上昇気流と、上空の冷たい空気との温度差が大きいほど、大気が不安定になり、積乱雲が発達し、ゲリラ豪雨が起こるのです。
ということは、7月から9月の夏時期にゲリラ豪雨は発生しやすいのです!
そして、日中に温められた空気が午後に上昇して、夕方に積乱雲が発達することが多いのです!
ゲリラ豪雨の昔と今



ゲリラ豪雨って昔からあったの?
夏の午後、突然の雨といえば、「夕立」がありますよね。
「夕立」も「ゲリラ豪雨」も積乱雲による、暑い日の午後から夕方に降る当然の雨という共通点があります。
しかし、「夕立」は”洗濯物が濡れる程度の雨”に対し、
「ゲリラ豪雨」は“冠水・落雷・突風など災害級の被害も起こりうる豪雨”なのです。
なぜ、近年、このような豪雨が発生するようになったのでしょうか?
それは、ヒートアイランド現象が関係しているのではないかと言われています。
ヒートアイランド(heat island=熱の島)現象とは、都市の気温が周囲よりも高くなる現象のことです。気温の分布図を描くと、高温域が都市を中心に島のような形状に分布することから、このように呼ばれるようになりました。ヒートアイランド現象は「都市がなかったと仮定した場合に観測されるであろう気温に比べ、都市の気温が高い状態」と言うこともできます。
気象庁 ヒートアイランド現象の「知識・解説」
- アスファルト・コンクリート
-
熱を吸収しやすく、夜になっても放射熱で温度が下がりにくい。
- 自動車・エアコンの排熱
-
交通量や冷房の排熱が、街の空気をさらに温める。
- 緑地・水辺の減少
-
土や植物が少ないため、蒸発で熱を逃がす効果(蒸発冷却)が弱い。
- 建物の密集
-
風通しが悪くなり、熱がこもる。
気温も高く、ビル風による気流の乱れから、都心部では、ゲリラ豪雨の発生しやすくなっているのです。
ゲリラ豪雨の前兆を見つけよう





災害級の被害も起こりうる豪雨なんて怖い……豪雨が降る前に知りたい。
ゲリラ豪雨の前兆を知って、安全に過ごしたいですよね。
ゲリラ豪雨が発生する前の前兆はあるのでしょうか?
発生前に知る方法について見ていきましょう。
前兆はあるの?前兆に気づくには


- 空が暗くなる
-
雲が厚く発達して、太陽の光が通らなくなるため、空が真っ暗になります。空が暗くなったと感じたら、発達した積乱雲が近づいているサインです。
- もくもくとした黒い雲(積乱雲)が急に現れる
-
入道雲が短時間で大きく成長してきたら要注意。
- 冷たい風が急に吹く
-
積乱雲からの下降気流の影響で、冷たい空気を吹き降ろすため、雨の前に冷たい風が吹くことがあります。
- ゴロゴロと雷の音が聞こえる
-
雷雲が近づいているサインです。遠くであっても雷鳴が聞こえたり、稲妻が見えたりしたら注意が必要です。まだ雨が降っていなくても安全な場所へ。
これらが揃うと30分以内に激しい雨が降る可能性があります。安全な場所に避難しましょう。
雨雲レーダーとは?
雨雲レーダーとは、雨を降らせる雲(雨雲)の動きや雨の強さを観測・表示するシステムのことです。
- 今どこで雨が降っているのか
- どのくらいの雨が降っているのか
- 雨雲がどの方向に向いているのか、距離はどれくらいか予測
テレビやスマートフォンの天気アプリなどで見ることができます。
雨雲レーダーは、今ある雨雲の位置・強さ・動きをリアルタイムで表示します。
しかし、ゲリラ豪雨は非常に局地的で短時間に発生するため、雨雲が急にわく前は、レーダーでもまだ何も映らないことがあります。
積乱雲が発達してから数十分で豪雨になることも多く、完全に「何時間も前から予測する」ことは困難なのです。



雨雲レーダーだけでなく、空の様子を見ることでゲリラ豪雨の前兆に気づけるんですね。
身を守るためのポイント


発達した積乱雲発生!どこに避難したらいいのでしょうか?
避難場所や注意点について解説します。
巨大雨雲発生!どうしたらいい?
巨大な黒い雨雲が出てきたら、ゲリラ豪雨・雷・突風が起きる可能性があります。
- すぐに安全な場所へ避難!
-
- 頑丈な屋内に入る
- 外にいる場合はコンビニ・駅・公共施設などに避難
- 車の中よりも、建物の中のほうが安全
- 雷に注意!
-
- 木の下・電柱・金属フェンスの近くには絶対に行かない
- 傘の金属部分にも注意
- 広いグラウンドなどでは、しゃがんで体を低くする(できれば建物へ)
- 強い雨や風が来たら
-
- 無理に移動しない
- 川や用水路のそばには近づかない
- 道路の冠水にも注意
- 停電や避難にそなえる
-
- スマートフォンや携帯電話の充電をしておく
- 懐中電灯・モバイルバッテリーを手元に
- 長引きそうなら、水や食料の確保も
雨雲レーダーを活用し、今どこで降っているのか、どれくらい続きそうなのか、いつ止むのかなどの気象情報を把握しましょう。
車はどうする?
ゲリラ豪雨のとき、車の扱い方を間違えると命に関わる危険があります。
- 無理に走り続けない!
-
前が見えにくく、道路冠水や事故の危険が高いです。
- 安全な場所に停車
-
コンビニ、ガソリンスタンド、高架下(※冠水しない場所)など
- ハザードランプを点けて徐行・停止
-
周囲に自分の存在を知らせる
気象庁によると、一時間降水量20mmを超えるとワイパーを速くしていても見づらくなり、「激しい雨」と表現される30mmを超えると道路が川のようになって高速走行中にハイドロプレーニング現象が起こり、50mm以上の「非常に激しい雨」では車の運転は危険とされています。
豪雨が予想されるときはできるだけ車での外出を控えましょう。
駐車場は川・低地・地下を避け、高台や立体駐車場を利用しましょう。
避難場所の選び方
ゲリラ豪雨や巨大雨雲などのときに「どこへ避難するか」を知っておくことは、命を守る第一歩です。
安全な屋内とは、雨・風・雷・洪水から身を守れる場所です。
- 学校・公民館・市役所などの公共施設
- 駅・ショッピングモール・大型スーパー
- 自宅(2階以上、川から離れている場合)
日ごろから、災害にそなえておくことが大切です。
自宅周辺、勤務先周辺の指定避難所・避難場所を確認しておきましょう。
ハザードマップポータルサイトや自治体のハザードマップを確認し、自宅や普段よく利用する場所がどんな災害の危険区域にあるか知っておきましょう。
まとめ|予測の難しいゲリラ豪雨の前兆を知って安全を確保しましょう
ゲリラ豪雨は、強い上昇気流によって急速に発達した積乱雲が引き起こす激しい雨です。
気象庁用語では「局地的豪雨」「局地的大雨」「集中豪雨」と表現されています。
気温が高く湿った空気が集まりやすい夏の午後に発生しやすく、ヒートアイランド現象なども影響しています
- 突然の暗い空
- 黒い入道雲
- 冷たい風
- 雷の音
これらの前兆が見られたら、早めに屋内へ避難しましょう。
雨雲レーダーで最新情報を確認することも大切です。
「自分の身を守る行動」を知っておくことで、突然の豪雨にも落ち着いて対応できます。
ゲリラ豪雨は自然現象ですが、正しい知識と早めの行動で被害を防ぐことができます。
突然の災害に慌てないように、日ごろからできる備えをしておきましょう。
車を運転中にゲリラ豪雨に遭遇した場合の対応について知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてはいかがでしょうか。


最後までお読みいただきありがとうございました。
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