うちのお義父さん、特別養護老人ホームに入れることになったのよ
特別養護老人ホームは入居一時金がかかりませんね
でもひと月10万円もかかるの
安くならないかしら
条件によっては費用が減免されますよ!
入居するには、要介護5の方でひと月に10万円ほど費用が必要です。
介護保険のサービスは1割~3割の負担で利用できます。
ですが、施設入所では食費と居住費が自己負担です。
ただし、条件によって自己負担の食費と居住費が減免される場合があります。
たとえば国民年金のみをもらっているような、年金が少ない方です。
この記事では条件と制度の利用方法についてお伝えします。
ぜひ、最後までお読みください。
きっと安心できますよ。
特別養護老人ホームへの入所でかかる費用には何がある?
転倒して骨折し入院したためか、認知症が進行して在宅介護が難しいAさんのお義父さん。
Aさんは介護しているお義父さんが特別養護老人ホームに入れることになって、ほっとしました。
特別養護老人ホームは、有料老人ホームとくらべて費用が安いと聞いていたからです。
でも、1か月10万円もかかると聞いてびっくりしました。
国民年金だったお義父さんの年金は、ひと月に67000円ほどしかありません。
残りの金額を、息子である夫が負担することになります。
夫はもう退職していて年金生活です。
どこから足りないお金を出そうかと、Aさんは頭を悩ませました。
お義父さんが介護保険を利用するときの負担は1割です。
では、どうしてそんなにお金がかかるのでしょうか。
施設入所する人の状況
Aさんのお義父さんの状況をまとめてみましょう。
- 80代後半(老齢福祉年金の対象ではない)
- 国民年金
- 息子夫婦と同居している(別世帯)
表中の老齢福祉年金についてご説明します。
老齢福祉年金は次の人に国庫から支給されます。
- 年金制度ができた1961年に50歳以上だった人
- 年金制度ができた1961年に45歳から50歳までだった人
次の場合、支給されません。
- 本人・配偶者・扶養する義務がある人に一定の所得がある場合
令和6年度の国民年金は、満額で月67808円です。(日本年金機構 令和6年4月分からの年金額についてより)
ずっと国民年金だったAさんのお義父さんは年額81万円ほど年金が支給されます。
Aさん夫婦と同居していますが、介護保険の負担額を抑えるため、世帯を別にしていました。
Aさんのお義父さんのような場合、施設に入所したときの食費と居住費が減免される制度が使えることがあります。
施設での食費や居住費は、本来は全額自己負担なのです。
費用のうちわけ
実際にどのような費用がかかるのでしょうか。
施設サービス費
Aさんのお義父さんが介護保険の利用で負担しているのは1割です。
特別養護老人ホーム(介護福祉施設)の多床室に入所して、要介護5だった場合を見てみましょう。
一日最大871単位まで介護保険内で介護を受けることができます。(厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項についてより)
1単位は基本10円なので、1か月(30日)では261300円です。
介護を受けるのにかかる金額の目安は、1割負担の場合で26130円になります。
食費と居住費、日常生活費
食費 | 1日1445円(月額4.4万円) |
居住費 | 1日915円(月額2.8万円) |
日常生活費 | それぞれの施設に確認 |
食費は1日3食分ですが、1食しか食べなくても費用は変わりません。
日常生活費は嗜好品や医療費、理容費などです。
費用は施設によって差があるので、それぞれの施設に確認しましょう。
食費と居住費は令和6年8月1日から基準費用額が引き上げられています。
日常生活費なしでも98130円……
お義父さんがもらっている年金よりもずいぶん高いわ
所得が低い方の場合、居住費と食費の減免制度がありますよ
減免の制度については次のとおりです。
国民年金を受給している場合に食費と居住費を減免するには?
介護保険で施設に入所する場合に食費と居住費が減免される制度を利用するには条件があります。
- 所得と資産が一定以下の場合
- 負担限度額認定を受けた場合
それぞれ見てみましょう。
申請できる条件
Aさんのお義父さんはAさんたち息子夫婦とは別世帯です。
そして、お義父さん夫婦は国民年金受給者で、市町村民税が非課税の世帯でした。
世帯について、子どもとの世帯分離は可能です。
ですが、夫婦や内縁関係の場合は世帯分離ができないことに注意しましょう。
預貯金などの資産はお義父さんご夫婦の合計で1550万円より多いですか?
貯金は1550万円もありません
Aさんのお義父さんの場合だと、食費と居住費が減免の対象になります
施設入居する方の食費と居住費の負担段階はぜんぶで4段階です。
減免の対象になる方を見てみましょう。
負担の段階 | 対象者 | 預貯金など(夫婦の場合) |
第1段階 | 生活保護の受給者 | 要件なし |
老齢福祉年金を受給している方 | 1000万円以下(2000万円以下) | |
第2段階 | 年金+ほかの所得が80万円以下の方 | 650万円以下(1650万円以下) |
第3段階① | 年金+ほかの所得が80万円を超え120万円以下の方 | 550万円以下(1550万円以下) |
第3段階② | 年金+ほかの所得が120万円を超える方 | 500万円以下(1500万円以下) |
- 第1段階~第3段階までは世帯の全員が市町村民税非課税であることが条件
- 表にある年金とは、国民年金、厚生年金及び共済年金のこと
- 課税される年金だけでなく、非課税の年金も含む
- 世帯のどなたかが市町村民税を納めている場合は第4段階となり、減免の対象にはならない
Aさんのお義父さんは第3段階①だとわかりました。
もらう年金の額とほかの所得の合計が、年間80万円より多く120万円以下の場合にあたります。
食費 | 1日650円(月額2万円) |
居住費 | 1日430円(月額1.3万円) |
合計額が3.9万円下がりました。
Aさんたちの負担も少なくすみそうです。
では、どうしたら負担額を減免できるのでしょうか。
負担限度額認定証について
食費と居住費の負担額の減免してもらうには、市区町村長への申請が必要です。
お住まいの市区町村で申請しましょう。
- 収入に関するもの
- 預貯金に関するもの
預貯金・有価証券・現金や負債額については、通帳の写しがいります。(介護保険法施工法第十三条第五項及び平成九年一二月二六日厚生省発老第一〇三号、厚生労働省 介護保険負担限度額認定申請書(案)参照)
負担額認定証をもらったら、次の点にご注意ください。
介護保険の負担額認定証の注意点
- 負担限度額認定証は1年更新です
- 更新日は毎年8月1日です
制度や金額は、見直されて変更することがあります。
介護報酬の単位数や居住費については、令和6年8月1日に見直されて、変わっているんです。
介護保険で施設入所するなら食費と居住費の減免制度を利用しよう
この記事では、介護保険の負担限度額認定証を申請して、施設入所の費用をおさえる方法をご紹介しました。
もらっている年金の金額が少なく、預貯金なども少ない場合、食費と居住費が段階的に減免されます。
- 食費と居住費の減免には条件がある
- 年金額と預貯金が少ない場合は第1段階~第3段階①②に該当する可能性がある
- 負担限度額認定証は、住んでいる市区町村に申請する
- 更新手続きを忘れない(毎年8月1日更新)
国民年金の方はもちろん、いずれの年金をもらっていても、条件に当てはまれば減免を受けることができるのです。
- 世帯全員が非課税
- 預貯金などの金額
ぜひ、お住まいの市区町村で手続きをしましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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