もしお住いの地域に「避難指示」が出たら、どのような行動をすべきかご存知ですか?
また、避難する際の持ち物はすぐに用意できますか?
最近、台風や大雨など災害の後のインタビューでこのようなコメントをよく耳にするようになりました。
ここに数十年住んでいるけど、こんなことは今までなかったんですよ。
地球温暖化などの影響で自然災害の被害が以前よりも大きくなっています。
そのため、今まで災害がなかった地域でも、これまで以上に避難情報に注意し、「いざ」という時の持ち物を用意しておく必要があります。
そして、近年の災害被害の増加を受けて令和3年5月20日から、避難情報として「避難指示」が発令されることとなりました。
では、新しい避難情報である「避難指示」の危険レベルをご存じですか?
「避難指示」が出たらどのように行動すべきかをご存じですか?
いざという時の持ち物はそろっていますか?
特に小さなお子さんがいらっしゃるご家庭では避難も大変だと思います。
そして、避難所でのストレスも少しでも減らしたいですよね。
そこで、今回は、「避難指示」の危険レベルや発令されたらとるべき行動、いざというときの「持ち物」についてわかりやすく解説します。
さらに、子ども連れ避難で必要なものや避難時にストレスを減らすグッズもご紹介します。
- 避難情報の警戒レベルの危険度と準備しなければならないこと
- 非常用持ち出し袋に入れておきたいもの(基本的な持ち物と子どもがいる場合)
- できれば持っていきたいストレス軽減グッズ
- いざという時に円滑に避難するために今できること
ぜひ、最後までお読みいただき、いざというときに慌てないような備えをしてください。
緊急時は命を守る行動を優先してください
避難指示が出たらどうする?持ち物は?
まずは、「避難指示」の危険レベルと、避難指示が出たらどのような行動をすればいいのか、また避難時の持ち物について解説します。
避難指示が出たらすぐ逃げる
「避難指示」が出た場合、絶対に逃げることが大切です。
すぐに避難を開始してください。
政府広報オンラインの「『警戒レベル4』で危険な場所から全員避難!5段階の『警戒レベル』を確認しましょう」という記事には、下図のような警戒レベルに応じた避難行動や避難情報をまとめた図が掲載されています。
この図を見てわかるように、「避難指示」が発令されたら全員避難することが求められています。
ただし、高齢者や小さなお子さんがいらっしゃる場合は避難指示よりも1段階下の「高齢者等避難」で避難を開始してください。
「避難情報」には5段階の警戒レベルがあります。
ここでは、各警戒レベルと避難情報で、どのような行動をしなければいけないのか確認していきましょう。
現在は危険な状態ではありませんが、これから災害の発生が予想されるので、事前に避難の心構えをしておく必要があります。
非常用持ち出し袋の用意、避難所の確認をしておくとよいでしょう。
現在、出ている注意報が警報に変わる可能性が高くなっています。
お住いの地域のハザードマップなどを確認し、災害を想定して避難先を選びましょう。
高齢者や小さなお子さんがいるご家庭は避難を想定しておきましょう。
災害が発生する確率が高くなっています。
自力で避難することが難しい高齢者や小さなお子さんがいるご家庭は避難を開始してください。
それ以外の方は、災害の発生に備えて、避難する準備をしていきましょう。
災害や危険が近くまで迫っています。
自治体からの情報をもとに危険な場所から全員すぐに安全な場所へ避難します。
何らかの災害がもうすでに起こっています。
外に出て移動することは危険を伴うので、1階から2階など安全な場所にとどまりましょう。
すぐに命を守る行動をしてください。
高齢者・小さなお子さんのいるご家庭は、どうしても移動に時間が掛かります。
災害が発生する確率が高まっている状態の警戒レベル3の高齢者等避難で避難を開始しましょう。
避難指示となる警戒レベル4では、危険な場所にいる全員が避難となります。
また、避難指示が出るレベルの災害では、自宅が被災して帰宅できない可能性もあります。
そのため、避難所で何日か過ごすつもりの用意が必要です。
え~?!一晩すごせればいいんじゃないんですか??
一晩で済めばいいのですが、雨などが止んでも道路が使えず帰宅できないケースもあります。
では、実際にどんなものを持っていけばよいのかを見ていきましょう。
避難時の基本的な持ち物
避難指示や高齢者避難が出て避難する際には、非常用持ち出し袋だけ持てば大丈夫という状態にしたいですね。
この項では、「非常用持ち出し袋」に入れておきたい基本の持ち物を解説します。
首相官邸ホームーページには非常用持ち出し袋に入れる基本の持ち物リストが掲載されています。
この中で特に忘れてはいけないものについてみていきましょう。
- 水・食品
-
避難所ですぐに食べられるものやアレルギーなどの方はご自分にあったものを用意しましょう。
- 着替え・下着
-
移動時に服が濡れる可能性が高いです。
そのままでは風邪をひいてしまうので、最低限の着替えを用意しましょう。
- 常備薬、お薬手帳
-
常備薬は持病がある方はもちろん、体調に不安がある方はもっていきましょう。
お薬手帳があれば、避難先でも必要なお薬を係の方に伝えやすいです。
- マスクやアルコール除菌等の衛生用品
-
避難所は多くの人がいるため、感染症の予防も必要です。
- 現金や貴重品
-
避難先で、クレジットカードが使えない場合もあるので小銭を用意しましょう。
持ち運ぶ荷物が多くなると移動が大変なので、無理なく移動できる量で全体のバランスを取りましょう。
また、家族への連絡、情報の収集のためにもスマホが必要となります。
避難所では電源の数が限られているため、モバイルバッテリーがあると安心ですね。
モバイルバッテリー!いかにも忘れそうだわ!
気を付けなくっちゃ!
大人にとっても子どもにとっても避難は大変です。
特に小さなお子さんにとってはストレスになります。
子どもは大人よりも環境の変化などに敏感です。
できれば、普段から使い慣れているものや気を紛らわせるものを用意したいですね。
次の項では、小さなお子さん連れの場合にさらに必要なものを解説します。
小さな子ども連れだからこそ必要な持ち物
小さな子どもがいるご家庭の持ち物は、「普段のお出かけの荷物の中身を多めに用意する」ことです。
これならその子に合わせて持ち物を準備できますね。
なお、NHKの「水害から命と暮らしを守る」には「乳幼児と避難するときのポイント」が掲載されています。
とても分かりやすくまとめてあるので、ぜひ参考にしてくださいね。
小さな子ども連れ避難の場合に、特に気を付けなければいけない持ち物をまとめました。
- 抱っこひも
-
慣れない場所では抱っこの時間が長くなるかもしれません。
- 粉ミルクや離乳食セット
-
子どもは環境の変化に敏感です。
できるだけ、いつも通りに過ごせるよう、普段飲んでいるもの、食べているものを用意しておきましょう。
- スプーンや紙コップ
-
食器類の消毒・洗浄ができない場合もあるので、多めに用意しましょう。
- おむつ・おしりふき
-
環境の変化が排泄に影響することもあります。
多めに持っていくと安心でしょう。
- バスタオル
-
お着替えやおむつ替え、寒さ調節など、色々なシーンで役立ちます。
慣れない場所で過ごすので、お子さんが食べ慣れているおやつや音が出ない絵本やおもちゃなどがあったほうがいいですね。
なるべくいつも通りに過ごせて、気を紛らわせることもできるよう工夫したいですね。
また事前に下記の内容を避難する可能性のある避難所に確認しておくと安心です。
- 避難所に妊産婦・乳幼児のためのスペースがあるか
- 妊産婦・乳幼児向けの備蓄品があるか
ここまで避難時の持ち物を解説しましたが、ご自分で持ち運べるかどうか確認しましょう。
もし、持ちきれない場合には、自治体の避難所の備蓄品で間に合うものは省きましょう。
自治体の避難所に用意されているものを確認しよう
避難時の持ち物が多すぎたりかさばったりすると避難自体が困難になります。
そこで、ご自分がお住いの自治体が避難所に用意しているものを確認しましょう。
「●●市 防災備蓄」 で検索すると各自治体で保管している災害備蓄品を確認できます。
多くの避難所は、水やアルファ米、乾パンなどを備蓄しています。
ただし、乳幼児や小さなお子さんに必要な粉ミルクやおむつなどは、自治体によって備蓄状況が異なります。
お住いの自治体の備蓄状況を確認しましょう。
避難所に用意されているものを減らすだけでも動きやすく、円滑に避難できます。
もっと荷物を減らせる方法はないですか?
避難を経験した方のお話によると、避難所に持っていかなくても良かったものもあるようですよ。
そうなんですね!持っていかなくてよかったもの、ぜひ知りたいです!!
では、避難所に持っていかなくて大丈夫だったものについて解説します。
避難の際、持って行かなくても大丈夫だったものは
避難を経験した方のお話を伺うと、意外なものが避難所では必要なかったことが分かりました。
- カップ麺
-
お湯が必要なカップ麺はすぐに作ることができないため、そのまま食べられる食品や飲料水のほうがよいでしょう。
- ティッシュペーパー
-
ティッシュペーパーよりも水に溶けやすいトイレットペーパーが便利です。
トイレで使用することもできます。
- 毛布
-
毛布はかさばるので、おすすめできません。
その代わりに、コンパクトに持ち運べるアルミブランケットがおすすめです。
なるほど!持ち物は選んで用意すべきですね!
この他にも、避難生活でのストレス軽減グッズもあるといいですね。
では、次は避難生活を少しでも快適に過ごす「ストレス軽減グッズ」をご紹介します。
できれば持っていきたい避難生活のストレス軽減グッズ3選
避難所ではなかなか自由に動けなかったり、少しのことがストレスになる場合もあります。
そこで、ストレスを軽減できるグッズをご紹介します。
避難時によくあるストレスは以下の通りです。
- 周囲が気になって眠れない
- 衛生状態に心配がある
- 子どもが退屈してしまう
では、ストレスの種類とそれに対応した「ストレス軽減グッズ」を紹介します。
周囲が気になって眠れない
大勢の人がいる避難所では、「周囲の音や明かりが気になると眠れない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな心配がおありでしたら、耳栓やアイマスクを非常用袋に入れておくことをおすすめします。
また、普段使い慣れているタオルなどもあると安心できるでしょう。
衛生状態に心配がある
衛生面が心配な方は、体を拭ける使い捨てボディタオルがおすすめです。
災害時にはシャワーなどをすぐ利用できるとは限らないので、持っていれば役立ちます。
シャワーと同様に、シャンプーも難しいかもしれません。
そこで、水のいらないシャンプーを持っていれば、清潔を保つだけでなく、リフレッシュにもなるのでおすすめです。
子どもが退屈してしまう
行動が制限された避難所生活では子どもが退屈してしまいます。
小さなお子さんには音の出ない絵本やシールブック、折り紙などがおすすめです。
小学生以上のお子さんには、友達と遊べるトランプやカードゲームがおすすめです。
また、お気に入りの人形などがあるとお子さんも安心して過ごせるでしょう。
特に子どもにとっては、避難生活は環境の変化の不安や思うように遊べないというストレスもあります。
そんな子どもたちのストレスを少しでも軽減できるように準備しておくと安心ですね。
いざというとき円滑に避難するために今できること
避難指示が出た場合、慌てないように準備しておくことが大切です。
円滑に避難できるよう、今できることをみていきましょう。
非常用持ち出し袋を持って歩く
非常用持ち出し袋を用意しても、ご自分で持ち歩けなければ意味がありません。
避難時は精神的にパニックになっている可能性もあります。
そこで、用意した非常用持ち出し袋をご自分で持って歩いてみるのがおすすめです。
思っていたより重い、肩掛けにしたら動きづらいなど改善点があればいざという時の前に改善しておきましょう。
非常用持ち出し袋の中身を定期的に確認する
非常用持ち出し袋の定期的な確認は必須です。
定期的に家族全員で非常用持ち出し袋を確認しましょう。
家族全員が非常用持ち出し袋の中身を知っていること、各人に必要なものが入っていることを確認するのが重要です。
また、家族全員で確認すれば、さらに必要なものが分かる、みんなで避難グッズの使い方を再確認できるなどのメリットもあります。
- 非常食の賞味期限を確認する
-
非常食の賞味期限をチェックしましょう。
賞味期限が近いものはローリングストックして、新しいものと取り換えておきましょう。
またこの機会に食べてみて、食べやすいものや好みに合うものか確認できますね。
- 避難袋以外に持ち出すものを確認する
-
日常的に使っているもので避難の際にもっていきたいものはリストアップしておくといいですね。
例えば、コンタクトレンズや常備薬などは忘れないようにしましょう。
また、保険証やお薬手帳等コピーをして非常用持ち出し袋の中にいれておくといざというときに安心です。
災害直後は、カードなどが使えない場合もあるので現金もあったほうが良いといわれています。
少額でもいれておきましょう。
- 懐中電灯やラジオなどは使えるか確認する
-
非常用持ち出し袋に入れた懐中電灯やラジオは普段使わないため、いざ使うときに電池が切れていたり、使い方がわからず手間取ってしまうことがあります。
一度、使い方を確認しておく、電池も定期的に新しいものに交換しておきましょう。
濡れては困るものをビニール袋の中に入れておくと雨の中の移動でも安心です。
非常用持ち出し袋の置き場所を確認する
いざ避難するときに非常用持ち出し袋を探す必要がないよう、家族で置き場所を決めておきましょう。
置き場所としては、「玄関」「キッチン」「リビング」「寝室」などがおすすめです。
その理由を解説します。
- 玄関
-
玄関から避難するケースがほとんどです。
非常用持ち出し袋は玄関には必ず置きましょう。
- キッチン
-
日中過ごすことが多い場所なので、いざというときに持ち出しやすい場所です。
また、食品の入れ替えがカンタンにできます。
- リビング
-
家族の共有スペースであるリビングを置き場所にすれば、置き場所を家族全員が共有できます。
- 寝室
-
災害は夜間に発生することもあります。
そのため、寝室にも非常用持ち出し袋を準備しましょう。
出入り口近くに置けば避難の際にすぐ持ち出せます。
非常用持ち出し袋は、いざという時に持ち出せなければ意味がありません。
玄関から避難できない場合も想定して、2か所に分散しておく方が安心ですね。
避難経路を確認する
避難経路や避難場所をあなただけでなく家族みんなが知っている事が重要です。
そのために今しておくべきことを順番に解説します。
- ハザードマップを確認する
-
自治体のホームページには災害時の危険個所を示したハザードマップが公開されています。
自宅や職場近くの川や用水路など、ハザードマップで危険な場所を確認しておきましょう。
国土交通省のハザードマップポータルサイトでご自宅付近、職場付近などを調べておくとよいですね。
- 避難所を決める
-
家族がそれぞれで避難することもあり得るので、家族内で避難場所を決めておくと安心ですね。
- 避難所まで歩いてみる
-
天気の良い日に一度避難所まで歩いてみることをおすすめします。
川や用水路など危険な場所を確認しておくとよいでしょう。
備蓄品を確認する
避難所から自宅に戻ってもすぐに元の生活に戻れない場合もあります。
家庭内での備蓄品をローリングストックして備えておきましょう。
- 飲料水
-
家族の人数分で3日分は用意しておきましょう。
目安は1人1日3リットルです。
- 非常食
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ごはん(アルファ米)、ビスケット、板チョコ、乾パンなどの非常食は3日分必要と言われています。
消費期限などを確認し、ローリングストックしましょう。
- 生活必需品
-
トイレットペーパー、ティッシュペーパー、マッチ、ろうそく、カセットコンロなどがあると、ガスや電気などライフラインが止まった場合にも対応できます。
- 携帯トイレ
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災害時に断水が起こると、トイレが流せなくなります。
衛生面の心配もあるので携帯トイレ、簡易トイレを用意しておくと安心です。
避難指示が出たらすぐ避難|持ち物を用意しよう
大雨や台風のときなど、避難情報が発信され、あっという間に避難指示レベルに達することもあります。
避難指示が出たら、必ず避難しなければなりません。
- 避難指示が出たらすぐ逃げる
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避難指示は、全員避難しなくてはならない「警戒レベル4」の状態です。
老人や小さな子どの連れの場合は、一段階前の「高齢者避難開始」の段階で避難しましょう。
- 避難時の基本的な持ち物
-
首相官邸ホームーページのチェックリストなどを参考に用意しましょう。
中でも以下は重要です。
- 水・食品
- 着替え・下着
- 常備薬、お薬手帳
- マスクやアルコール除菌等の衛生用品
- 現金や貴重品
- 小さな子ども連れだからこそ必要な持ち物
-
普段のお出かけの荷物の中身を多めに用意するようにしましょう。
特に重要なものは以下のとおりです。
- 抱っこひも
- 粉ミルクや離乳食セット
- スプーンや紙コップ
- おむつ・おしりふき
- バスタオル
- 自治体の避難所に用意されているものを確認しよう
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荷物を減らしたい方は自治体の避難所の備蓄品を確認しましょう。
また、災害時に使いづらかったもの、カップ麺などを省くのもいいでしょう。
- できれば持っていきたいストレス軽減グッズ
-
- アイマスク・耳栓
- ボディータオルや水がいらないシャンプー
- 音の出ない絵本やカードゲームなど
この記事では、「避難指示が出たらすぐ逃げる必要があること」「避難時の持ち物」について述べてきました。
さらに、災害時に円滑に避難するために、災害時ではない今だからこそやっておきたいことについても解説しました。
- 家族で非常用持ち出し袋の中身や置き場所を確認する
- 非常用持ち出し袋を背負って歩いてみる
- 日常使っているものをリストアップしてすぐに持ち出せるようにする
- 避難場所、避難方法を家族で確認する
- 水・食料を人数分×3日分用意しローリングストックする
避難指示が出たときに、すぐ避難できるように、持ち物をしっかり準備しておきましょう。
また、災害への備えは持ち物の準備だけではありません。
災害時ではない今だからこそできる家族での情報の共有や、公共の情報の確認をおこないましょう。
災害時の備えについては、こちらの記事も参考にしてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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