ローストビーフを作ってみたけど固くなってしまった・・・
ローストビーフ作りで失敗してしまったことはありませんか?
せっかく作ったのに生焼けだったり固くなってしまったら本当にショックですよね。
ローストビーフ作りは素材も作り方もハードルが高い、というイメージが強いかもしれません。
しかしご安心ください!
ローストビーフは安い肉で柔らかくおいしく作れます!
この記事では、管理栄養士の私がローストビーフ作りの失敗から導く成功のカギと厳選レシピをご紹介します。
ローストビーフを安い肉で柔らかく手作りできたら感激ですよね。
ハレの日のメニューにもぴったりな、一生もののレシピになること間違いなし。
どうぞ最後までお読みください。
ローストビーフの失敗パターンと成功のカギ
ローストビーフ作りでよくある失敗は、固いと生焼けです。
この固いと生焼けには、さまざまな原因が考えられます。
どちらにも共通して言える最大の原因は、時間と温度です。
時間と温度を徹底管理することが、ローストビーフ作りにおける成功のカギとなります。
調理の工程ごとに詳しく見ていきましょう。
成功へのステップ①下処理
ローストビーフ作りにおける下処理とは、主に漬け込みのことを指します。
安い肉を柔らかく仕上げるための大切な工程です。
漬け込みパターンごとの漬け込み時間と漬け込み温度を知る
冷蔵庫でひと晩、常温で30分、などさまざまなレシピがありますよね。
肉を何に漬け込むかによって、漬け込み時間と漬け込み温度が変わってきます。
後ほど材料ごとに分かりやすくご紹介していますのでご覧ください。
成功へのステップ②加熱
フライパンやオーブンなど、どの調理器具を使うかや、肉の厚さで加熱時間と加熱温度は異なります。
どの条件でも共通して言えることは、加熱時間=肉の中心温度が一定時間に達するまでの時間ということです。
この一定時間とは、仕上がりの焼き加減のことです。
焼き加減 | 肉の中心温度 | 特徴 |
---|---|---|
レア | 50~54℃ | 赤みが強く肉汁が多い |
ミディアムレア(ロゼ) | 54~57℃ | ピンク色でしっとり |
ミディアム | 57~60℃ | 薄いピンク色で弾力がある |
- 好みの焼き加減に合わせて加熱時間と加熱温度を設定する
- 温度計で肉の中心温度を正確に測る
肉の中心温度を正確に見極めるのに欠かせないアイテムが中心温度計です。
クッキング温度計やキッチン温度計とも呼ばれていて、価格帯は1,000円前後です。
筆者のおすすめをひとつご紹介しますので参考にしてみてくださいね。
揚げ物のときに油の温度を測るのにも便利。
ご家庭にひとつ持っていて損はないアイテムですよ。
ローストビーフを安い肉で柔らかく作る方法
ローストビーフ作りでは時間と温度の管理がとても大切なのですね。
ローストビーフを安い肉で柔らかく作るポイントは3つ。
具体的に見ていきましょう。
- 肉の部位選び
- 漬け込み
- 加熱
肉の部位選び
ローストビーフに適している肉は、脂身の少ない赤身です。
ローストビーフは冷たい状態で食べることが多いので、脂身が多いと食感が損なわれるからです。
高級な霜降りの肉を選ぶ必要はありません。
比較的安価に手に入る輸入牛でも、漬け込みにより十分柔らかく仕上がります。
ローストビーフに適した肉の部位を輸入牛に絞ってご紹介します。
- モモ肉
脂身が少なくあっさり。ほどよい噛み応え - リブロース
適度な脂身で肉質のきめが細かい。柔らかい仕上がり - 肩ロース
赤身と脂身のバランスが良い。やや筋がある
ひとくちに輸入牛といっても産地がさまざまです。
主な産地による肉質の違いも簡単にまとめました。
- アメリカ産
脂身が多く柔らかい - オーストリア産
脂身が少なくしっかりとした肉質。肉の香りが強い - ニュージーランド産
ほどよい脂身で適度な噛み応え
最もポピュラーな部位はやはりモモ肉ですが、肉質の好みや予算に合わせて選ぶことをおすすめします。
厳選!漬け込みパターン3選
いろんな漬け込みパターンがあって迷ってしまう・・・
ここでは手軽に柔らかくおいしく仕上げる漬け込みパターンを3つご紹介します。
1.すりおろし玉ねぎ
すりおろし玉ねぎに含まれるプロテアーゼという酵素が肉を柔らかくします。
プロテアーゼは30℃前後で最も活発に働くといわれています。
玉ねぎの香味が肉と相性抜群!残った玉ねぎで絶品ソースも作れますよ。
2.塩麴
すりおろし玉ねぎと同様に、塩麴にもプロテアーゼが含まれています。
肉を柔らかくするのはもちろん、肉の旨味をぐんと増やし保存性も高めます。
塩分があるのでこれひとつで下味が決まる優秀アイテム。
3.ブライン液
ブライン液とは、水に塩と砂糖を混ぜ合わせた溶液のことです。
塩が肉のたんぱく質を分解して肉を柔らかくし、砂糖が肉の保水性を高めしっとりさせます。
ブライン液は配合が重要で、比率は水に対し塩と砂糖が5%ずつです。
(例)水100cc:塩5g:砂糖5g
漬け込み時間は長ければ長いほど良いというわけではありません。
漬け込みすぎると肉がぼろぼろになってしまったり、塩分がある場合は塩辛くなってしまう恐れがあります。
食中毒予防の観点からも、下記の時間と温度をできるだけ守ることをおすすめします。
漬け込みパターン | 漬け込み時間 | 漬け込み温度 |
---|---|---|
すりおろし玉ねぎ | 30分~1時間 | 常温(1時間以上なら冷蔵) |
塩麴 | 1~2時間 | 常温(1時間以上なら冷蔵) |
ブライン液 | 1~2時間 | 冷蔵 |
味の好みや調理時間などを総合して、あなたにぴったりな漬け込みパターンを選ぶと良いでしょう。
厳選!加熱パターン3選
ローストビーフ作りといえば便利な低温調理器もありますが
少しお値段が張りますね・・・
特別な調理器具を使わずともご家庭にある調理器具で柔らかくおいしく仕上げる加熱方法を3つご紹介しますね。
1.オーブン
熱の通り方が均一で失敗が少ない。温度設定さえすればほったらかしでOK!
2.フライパン
フライパンひとつで完結するので洗い物も少なく手軽さNO.1!
火加減の微調整が必要。
3.炊飯器
炊飯器の保温機能を使い湯せんでじっくり加熱する方法。加熱しすぎる心配が少ない。
筆者はよくオーブンを使います。
肉と一緒に野菜も焼けば、立派な副菜グリル野菜の完成です!
安い肉で柔らかく!ローストビーフの決定版レシピ2選
これまでの内容をふまえた上で、管理栄養士監修のローストビーフ厳選レシピを2つご紹介します。
- すりおろし玉ねぎ&オーブンでローストビーフ
- 塩麴&炊飯器でローストビーフ
作り始める前に、どのようなローストビーフを作るのかを明確にしておきましょう。
ゴールを明確にすることで、失敗の可能性を最小限にできます。
これからご紹介するレシピは、以下の点に的を絞って考案した厳選レシピです。
- 作りやすい分量
- 安い肉を使う
- 冷めても柔らかい
- 調理工程が複雑でなく最低限の温度管理で作れる
- 焼き加減はロゼ
▶check!の部分では中心温度計で温度を測ることを忘れずに。
さっそく見ていきましょう!
すりおろし玉ねぎ&オーブンでローストビーフ
焼き加減はオーブンにお任せ!玉ねぎの旨味が格別な和風ソースでどうぞ
材料 | 分量 |
---|---|
輸入牛モモ肉 | 300g |
すりおろし玉ねぎ | 小1こ |
塩 | 小さじ1 |
砂糖 | 小さじ1 |
●すりおろし玉ねぎのあまり (作り方※1) | 大さじ1 |
●肉汁 (作り方※2) | 大さじ1 |
●醤油 | 大さじ1 |
●みりん | 大さじ1 |
●砂糖 | 大さじ1/2 |
【作り方】
- 肉の各面を10箇所ほどフォークで刺す
- ポリ袋に肉とすりおろし玉ねぎを入れてよく揉み込み、常温で30分置く
- ポリ袋から肉を取り出し水気をふき取る
(※1)袋に残った玉ねぎはソースに使うのでとっておく - 肉の各面に塩と砂糖を刷り込み、常温で30分置く
- オーブンを140℃に予熱し鉄板にオーブンシートを敷く
- ④の肉の水気をふき取る
- フライパンに油小さじ1(分量外)をひき中火にする
- 油が温まったら⑥の肉を入れ各面30秒ずつ焼く(両端は立ててさっと焼き付ける)
▶check!オーブンに入れる前の肉の中心温度:20~25℃ - 140℃のオーブンで25分焼く
▶check!焼き上がりの肉の中心温度:50~55℃ - アルミホイルを二重にして肉を包み、常温に30分置き予熱で火を通す
(※2)アルミホイルに残った肉汁はソースに使うのでとっておく - ⑦のフライパンを軽く拭き●の材料を混ぜ合わせ、軽くとろみがつくまで中火にかける
塩麴&炊飯器でローストビーフ
材料これだけ!塩麴の塩分と旨味でソースなしでも納得の味
材料 | 分量 |
---|---|
輸入牛モモ肉 | 300g |
塩麴(ペーストタイプ) | 大さじ3 |
【作り方】
- 肉の各面を10箇所ほどフォークで刺す
- ポリ袋に肉と塩麴を入れてよく揉み込み、常温で1時間置く
- 沸騰した湯を炊飯器の内窯の7分目まで入れる
- ポリ袋から肉を取り出し水気をふき取る
- フライパンに油小さじ1(分量外)をひき中火にする
- 油が温まったら④の肉を入れ各面1分ずつ焼く(両端は立ててさっと焼き付ける)
▶check!オーブンに入れる前の肉の中心温度:20~25℃ - ラップを二重にして肉を包み、ジップロックなどの耐熱袋に入れしっかりと空気を抜く
▶check!炊飯器のお湯の温度:70℃ - 炊飯器の内釜に⑦を入れ、浮かないように耐熱皿などで重しをする
- 蓋をして保温モードで45分放置する
▶check!放置後の肉の中心温度:50~55℃ - 内釜から肉を取り出し、常温に30分置く
ご紹介した2つのレシピは、ローストビーフをできるだけ簡単に作れるよう最低限の材料で構成しました。
下味に香辛料やハーブを加えたり、ソースに赤ワインを使うなどアレンジは無限大!ワンランク上のおいしさになりますよ。
完成後のワンポイントアドバイス
出来上がったローストビーフをさらにおいしくする方法があります。
どのくらい日持ちするのかも気になりますよね。
おいしく完成したローストビーフを余すことなく堪能するためのポイントは以下の2点です。
- 冷やす
- 日持ちと保存方法
詳しく見ていきましょう。
1.冷やす
ローストビーフが完成したあとは、冷蔵庫で冷やすことをおすすめします。
冷やすことで肉の中に肉汁を閉じ込め、しっとりした食感を維持できます。
包丁で切るときに切りやすく切り口もきれいです。
切るときは肉の繊維に向かって垂直に切ることも忘れずに。
2.日持ちと保存方法
手作りしたローストビーフは、おいしさや食中毒予防の観点から、その日のうちに消費するのがベストです。
余ってしまった場合の保存方法は以下の通りです。
- スライスせずブロックのまま
- 表面の水分をふき取る
- 空気を遮断するようにラップを巻きつけて密閉する
- 冷蔵庫で2日まで(チルド室だと3日)
ローストビーフは冷凍保存もできます。
上記の状態からさらにフリーザーバッグなどに入れてできるだけ密閉してから冷凍します。
保存期間は1カ月ほどです。
冷凍したローストビーフを食べるときは、冷蔵庫に移してゆっくりと解凍することをおすすめします。
もし失敗してしまったら
どれだけ注意して作っても失敗してしまうことはあります。
失敗してしまっても大丈夫!おいしく食べられる方法がありますよ。
失敗パターンごとに対処法をご紹介します。
生焼けだったときの対処法
ローストビーフが生焼けだったときは、再加熱すれば問題なし!
再加熱の方法で最も簡単なのが電子レンジです。
- 電子レンジ200Wで2分加熱
- 肉の中心温度が50℃以上になるまで、200W10秒ずつ追加加熱
ローストビーフをブロックのままラップに包み、耐熱皿の上にのせ加熱します。
加熱のあとは少し休ませ状態を見ます。
低温でゆっくりと火を通すことで、温めすぎて固くなることを防ぎます。
このときも肉の中心温度が50℃以上になっているかを温度計で確認しましょう。
追加加熱は、肉の状態を見ながら10秒ずつ行います。
固くなったときの対処法
固くなってしまったローストビーフを柔らかく戻すことはできません。
上手にリメイクしておいしくいただきましょう!
- 炒める
細切りにして青椒肉絲に、みじん切りにしてチャーハンに混ぜる - 煮込む
一口大に切りカレーやシチューに、細かく切り砂糖と醤油で煮詰めて佃煮に
リメイクとは思えない豪華で味わい深い一品になりますよ。
ローストビーフは安い肉で柔らかくおいしく作れる!まとめ
この記事では、ローストビーフを安い肉で柔らかくおいしく作る方法とレシピをご紹介しました。
ローストビーフ作りを成功させるカギは、時間と温度の管理を徹底することです。
- 漬け込み時間と漬け込み温度が重要
- おすすめの漬け込み方法は、すりおろし玉ねぎ・塩麴・ブライン液
- 加熱時間と加熱温度、肉の中心温度が重要
- おすすめの加熱方法は、オーブン・フライパン・炊飯器
- 中心温度計は必須アイテム
素材も作り方も敷居が高そうなローストビーフですが、管理栄養士監修のレシピなら大丈夫!
気兼ねなくチャレンジできますよ。
※記事内のレシピにジャンプできます
きれいなロゼ色でしっとり柔らかなローストビーフが完成したときの喜びはひとしおです。
おもてなしのメニューとしても自信をもって振る舞える、一生もののレシピになることでしょう。
あなたのローストビーフ作りが成功することを祈っています。
日々のおかず作りにお悩みではないですか?
作り置きレシピがたくさん紹介されているこちらの記事もぜひご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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