最近、食料品や光熱費などさまざまなものの価格が上がっています。
これからも上がって、さらに家計に響くのでは?と不安な方も多いのではないでしょうか。
商品の価格の動きは、消費者物価指数で見ることができます。
しかし見慣れていないと、どう変化しているのかわからないですよね。
消費者物価指数ってそもそも何?
商品ってたくさんあるけれど、どうやって計算しているの?
というあなたのために、今回は消費者物価指数をわかりやすく解説します。
本記事の内容は下記のとおりです。
- そもそも消費者物価指数って?
- 計算式としくみ
- 見るときにポイントとなるのは?
- 消費者物価指数が上がるとどうなる?
指数といわれると難しく考えがちですが、しっかり理解すれば見るのは簡単です。
この記事を読めば、あなたも消費者物価指数をチェックできるようになりますよ。
ぜひ最後までお読みくださいね。
消費者物価指数とは?わかりやすく解説します!
消費者物価指数とは消費者が買う商品の価格の変動を表す指数で、CPIとも呼ばれています。
どんなしくみなのか、できるだけ簡単に解説していきますね。
消費者物価指数は消費者が買う商品の価格
「物価が上がっている」と言うときの物価は、何を指しているのかご存じですか?
単に物の価格をイメージするかもしれません。
しかし経済的な意味になると、販売されている財(モノ)やサービスの価格を総合的に見たものが物価になります。
商品一つ一つの価格ではなく、まとめていると考えればOKです。
消費者物価とは、末端価格のこと。
つまり、消費者がお店で買うときの価格を総合して表す指数が消費者物価指数です。
基準時を最初に決める
消費者物価指数はまず、基準となる年を決めます。
そもそも物価指数とは、基準となる年(基準時)と比較して物価の動きを測定するものだからです。
基準時を100にして比率で表します。
うーん、ちょっと難しいかも……
計算式を見てみましょう。
比較時の消費者物価指数=比較時の価格÷基準時の価格×100
たとえば105になると、基準時より物価が5%上昇したことを示しています。
では、具体的に説明していきますね。
買い物かごに入れて比較
消費者物価指数のしくみは、あなたがスーパーで使う買い物かごをまずイメージしてみましょう。
基準となる年にわたしたちが買った商品を調べて、大きな買い物かごに入れます。
買い物かご全体にかかる費用を計算してみると、20万円でした。
別の年に、買い物かごに同じ種類と数量の商品を入れてみると、21万円になっていたとします。
同じものを買ったのに1万円増えてる!
さきほどの計算式を使って計算してみますね。
同じ内容の買い物をするとして、基準時と比較時で費用がどれだけ動いたかを見ると考えればいいのです。
これなら、全体的に見ても上がっているのか、下がっているのかがわかりやすい!
買う商品が同じでも、費用だけが上がると家計の負担になってしまいますね。
買い物かごの中身=指数品目とウエイト
わたしたちが購入する商品はたくさんありますが、買い物かごには全てを入れているわけではありません。
買い物かごの中身となる指数品目とウエイトについて、それぞれを見ていきましょう。
指数品目
買い物かごに入れる商品は指数品目と呼ばれています。
家計調査の結果をもとに、生活するうえで重要度の高い商品が選ばれます。
家計の実態を見るために総務省統計局が毎月行っている調査。
無作為に抽出された全国の約9000世帯が対象となっている。
ウエイト
ウエイト(重み)は家計支出額の割合に応じて、それぞれの品目につけられます。
たとえば米は毎月10キロ買うとしても、炊飯器は毎月買いませんよね。
ウエイトの小さい商品よりも、大きい商品が値上がりしたほうが家計への影響が大きくなります。
多くの商品をまとめているため、生活への影響度を考える必要があるのです。
ウエイトも家計調査の結果がもとになっています。
5年に一度基準改定が行われる
消費者物価指数は5年ごと(西暦年で末尾が0と5になる年)に基準改定が行われ、指数品目とウエイトも変わります。
新商品が販売されたり消費者の好みが変わったりすれば、買い物かごの内容を変えていかなければなりません。
ずっと同じままだと、正確な物価の動きを見れなくなってしまうからです。
2023年現在、2020年の1年間を基準時とした消費者物価指数が総務省統計局より毎月公表されています。
消費者物価指数を見るときのポイント
消費者物価指数がどんなものかを説明してきましたが、見るときには何に注目すればいいのでしょうか。
知っておきたいポイントをご紹介します。
3種類の消費者物価指数を見てみよう
消費者物価指数は大きく分けると、以下の3種類があります。
- 総合指数
全ての品目が入っている - 生鮮食品を除く総合指数(コア指数)
天候に左右されやすい生鮮食品などを除いている - 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)
さらに、電気代・都市ガス代・プロパンガスなどのエネルギーを除いている
「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数」をコアコア指数と呼んでいる場合があるので注意してください。
コアコア指数を見るときは、除いている品目を確認するようにしましょう。
生鮮食品は不作で値上がりしたり、反対に多すぎて値下がりしたりします。
また、エネルギーは原油価格の影響を直接受けるもので、海外の状況で価格の変動が起こりやすいです。
一時的な要因や外からの要因による影響が大きい品目を除かないと、物価の変動が経済的なものであるのか判断できなくなります。
3種類全てを見ると、なぜ物価が上がっているのかがわかりますね。
消費者物価指数は総合指数だけでなく、コア指数、コアコア指数も忘れずに見るようにしてください。
全国と東京都区部がある
もう一つ注意したいのが、消費者物価指数には全国と東京都区部の2種類があるということです。
これらは公表される時期が異なります。
全国消費者物価指数 | 1ヶ月後に前月分を公表 |
東京都区部消費者物価指数 | 当月分を公表(速報) |
東京都区部は後日公表される全国消費者物価指数を予測するためにも、重要なものとなっています。
東京都区部のほうが全国よりも早く公表されると覚えておきましょう。
消費者物価指数が上がるとどうなる?
消費者物価指数が上がると、景気が良くなるのでは?と思うかもしれません。
しかし、物価上昇には良いものと悪いものがあるので注意が必要です。
ここからは、消費者物価指数の上昇が及ぼす影響について見ていきます。
賃金が上がらなければ家計は苦しくなる
消費者物価指数が上がると、家庭の支出が増えることになります。
しかし同時に賃金が上がらなければ、どんどん家計は苦しくなります。
2022年4月には消費者物価指数が、政府・日本銀行が目標としていた2%を超えました。
日本銀行によると、経済の好循環を伴う安定的な物価上昇ではないとされています。
需要の増大や賃金の上昇を伴わない、一時的な物価上昇なのです。
良い物価上昇と悪い物価上昇がある
物価上昇には良いものと悪いものがあります。
物価が上がることで企業の売り上げが良くなり、賃金もアップして景気が良くなるのが良い物価上昇です。
良い物価上昇では、物価上昇に伴って景気が拡大していく好循環が続きます。
一方、物価が上がっても需要や賃金が上がらないものが悪い物価上昇と呼ばれます。
原材料の輸入価格が高くなることで起きる物価上昇で、こうした一時的な上昇だと景気の回復にはつながらないのです。
景気を見るためにも、消費者物価指数は重要なんです。
これから物価がどうなっていくか、消費者物価指数をしっかり見ていかなければなりませんね。
消費者物価指数をよく理解して見ていこう!
今回は、消費者物価指数について解説してきました。
簡単に説明すると下記のとおりです。
- 消費者がお店で買う商品の価格が消費者物価と呼ばれる
- 基準時を最初に決める
- 買い物かごに入れて比較する
- かごの中身の指数品目・ウエイトは変更される
総合指数・コア指数・コアコア指数があり、全国と東京都区部で公表時期が違っている点にも注意してくださいね。
物価が上がり続けると、家計への影響がますます大きくなっていくでしょう。
これからの動きを、ぜひ消費者物価指数でチェックしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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