70代を超えると急激に増加する骨粗鬆症(こつそしょうしょう)。
特に女性は70代の2人に1人が骨粗鬆症であるといわれています。
そして、1度骨折すると何度も同じ箇所を骨折してしまう人が多いのです。
病院勤務の筆者は、何度も同じ箇所を骨折して入院してくる患者さんを見てきました。
高齢になってからの骨折は日常生活に影響が大きいですよね……
また骨折の箇所は主に大腿骨であり、そのまま寝たきりになってしまう人も少なくありません。
この記事では閉経を迎えた女性、具体的には50代半ばでの骨密度検査の重要性をお伝えします。
そしてもし骨粗鬆症予備群や骨粗鬆症と分かってしまったあなたにも、まだ間に合う対処法をご紹介します。
最近の高齢の皆さんは見た目も気持ちも若々しく、モチベーションも高いです。
見た目と同じように健康的で、自立した毎日をずっと過ごせるようにしていきましょう。
- 女性が50代で骨密度が急激に下がる理由
- 骨密度検査の種類と検査結果の見方
- 女性における年代別骨粗鬆症予防と骨粗鬆症になってしまった時の対処法
なぜ女性は50代で骨密度が急激にさがるのか?エストロゲンが減少するとどうなる?
人間の骨密度は20代にピークに達し、そのまま40歳まで維持し続けます。
そこには男女ともにエストロゲンという女性ホルモンが深く関係しています。
男性にもエストロゲンがあるのですね。
はい。しかし女性は閉経で急激にエストロゲンが減ってしまいます……
閉経を迎える50代前からエストロゲンは急激に減少し、女性の体はゆらぎ始めます。
これが更年期障害ですね。
次章から骨にも深く関わっているエストロゲンを詳しく解説していきますね。
エストロゲンが正常レベルの骨
引用:バイエルベターライフナビ
私たちの骨は「壊しては作る」という新陳代謝を行っています。
骨も髪の毛や皮膚と同じです。
そこでエストロゲンは骨を壊そうとする細胞の抑制をしています。
新しい骨を作る細胞とのバランスをとっているのです。
エストロゲンが減少した骨
引用:バイエルベターライフナビ
エストロゲンが減少すると骨を壊す細胞の抑制ができなくなります。
つまり骨を作るスピードが間に合わず質の悪い骨が作られるのです。
骨を作る細胞のスピードが、壊す細胞のスピードに間に合わないのですね。
平均寿命が延びた現代では、閉経後から長い年月を生きることとなり、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を発症しやすくなりました。
また、もともとの骨量が低い人は骨粗鬆症になりやすいのです。
ご自身の骨の状態を調べるのに適した年齢と検査があります。
次の章で見ていきましょう。
骨密度検査を受ける年齢と検査方法
骨密度検査は閉経後の50代半ば、そして65歳を過ぎた時点でもう1度受けましょう。
65歳を過ぎてまだ1度も骨密度検査を受けていない人は早めに受けるのをおすすめします。
骨折を経験する前に骨量を知るのが重要なんですね。
骨量が分かれば対策が練れますからね。今後の人生をよりよいものにしていきましょう!
ここからは検査方法の特徴と骨密度検査表の見方を解説していきますね。
骨密度検査の検査方法
骨密度検査にはDXA(デキサ)法、MD法、QUS法と呼ばれる3つの方法があります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
DXA(デキサ)法
引用:雪印メグミルク
DXA 法は3つの検査方法の中で最も精度が高いといわれているものです。
主に大腿骨と腰椎の骨量を測定します。
検査費用も最も高く4500円程度になります。
MD法
引用:雪印メグミルク
MD法は人差し指の骨の部分、手のひらの骨を撮影します。
アルミニウム板と撮影し骨の濃淡や状態で骨密度を判定します。
費用は高くて3000円くらいです。
QUS法
引用:雪印メグミルク
QUS法はかかとの骨で計測します。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の確定判断には用いられません。
費用は500円ほどで比較的安価です。
皆さんの中にはQUS法を目にしたことがある人もいるかもしれません。
産婦人科や健康診断が行われる場所にオプションとして設置されている事が多いです。
被ばく量がゼロなので、比較的受けやすい検査ですがDXA法と比べて精度が落ちるのが弱点です。
QUS法はあくまでも目安であり、骨粗鬆症の確定判断には用いられません。
閉経後に行う骨密度検査は精度が高いDXA法がおすすめです。
骨密度検査の結果の見方
🔍タップすると拡大します 引用:西田病院
こちらはDXA(デキサ)法での検査結果になり、上段の向かって右側が股関節、左側が腰椎です。
またTスコアというのは若年成人を0としての値となります。
正常 | -1.0まで |
骨粗鬆症 | -2.5未満 |
若年成人比較の%で表されている数字が骨密度です。
<ここで注意>骨密度は同年齢比較ではなく若年成人比較を見てください!
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)でもまだ間に合う!年代別平均値による女性にとっての対策
引用:間庭整形外科
上のグラフは骨密度の年代別平均値を表したものです。
65歳以上の女性の平均値がすでに骨粗鬆症(こつそしょうしょう)となっています。
女性にとって骨粗鬆症は、誰にでもなりうる、ありふれた病気なんです。
ここからは骨量が減っていく40代からの女性に向けての対策を年代別に解説していきます。
40代~50代 女性 YAM値80%以上(骨量正常)
平均値から見ると40代~50代の女性は、YAM値80%以上の数値を持っています。
この時期は今の骨量を維持するのが重要です。
骨量を保つのには運動がよいですよね!
ただ激しい運動は逆に骨に負担がかかります。
ウォーキングや軽い運動がおすすめです。
運動で作られた筋肉は骨を守ってくれます。
40代になってくると中年太りも気になるところですが、細すぎても骨折のリスクが上がります。
適正体重を心がけましょう。
閉経前後はエストロゲンの減少により急激な骨密度低下が起こります。
その時期にエストロゲンをサプリメントで補充するのもおすすめの方法です。
骨密度の急激な減少を緩やかにします。
食事もカルシウムとカルシウムの吸収を助けるビタミンDを意識的に摂りましょう。
日光を浴びるのもビタミンDの生成にはおすすめの方法です!
40代~50代 女性 YAM値80%未満(骨粗鬆症予備軍、骨粗鬆症)
40代~50代で骨密度検査に行き、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)と分かってしまっても大丈夫です。
まだ間に合います!
骨粗鬆症や予備軍は早く治療しただけ効果も高いので、分かった時点で治療を開始しましょう。
現在、骨粗鬆症には多くの治療薬があります。
それぞれに特徴があり、血液検査の内容や生活リズムにあった治療法を選べます。
40代~50代は比較的YAM値が高いのと体力もあるので治療も軽くすむことが多いです。
この段階で治療に入るのが骨折をしない人生には重要なのですね。
60代以降女性 YAM値80%以上(骨量正常)
60代以降女性でYAM値80%以上だったあなたは大変優秀です。
たいていの女性が骨粗鬆症(こつそしょうしょう)予備軍か骨粗鬆症に入っています。
60代以降でも、やはり軽い運動はおすすめです。
運動には息の上がらないウォーキングやストレッチを日常的に取り入れていきましょう。
またこれからは転ばない環境を整えることも重要になります。
転倒防止対策(自宅) | 転送防止対策(外) |
---|---|
足元に物を置かない コード類をまとめる 段差をなくす 部屋を明るくする | 転倒時に手が出るよう両手をふさがない 滑りやすい靴をはかない 脚が弱ってきたら杖をつく 手すりをなるべく利用する |
60代以降女性 YAM値80%未満(骨粗鬆症予備軍、骨粗鬆症)
60代以降の女性の2人に1人は骨粗鬆症(こつそしょうしょう)予備軍か骨粗鬆症です。
ここからは少しでも早く治療を始めて骨折しないことを最重要課題にしてください!
骨粗鬆症には多くの治療薬があり自分に適したものを医療機関で処方してもらいましょう。
そして治療は長く根気よく続けないと骨密度は上がりません。
骨粗鬆症は自覚症状がないため病気という意識がなく薬の服用や治療をやめてしまう人が多いんです。
そして自覚症状がないがゆえ、骨量が限りなく低くなってしまう人もいます。
体をねじって物を取ろうとしただけで骨折してしまったり,
咳だけで骨折してしまったりした患者さんもみえます……
それは転んでしまったら大変なことになりますね……
治療とともに転ばない環境を作り骨折を防ぎましょう。
骨密度の下がる年齢の女性がやるべきこと
女性の骨密度は50代を境にしてガクンと下がります。
その理由はエストロゲンの減少です。
エストロゲンが正常レベルの骨 | エストロゲンが減少した骨 |
---|---|
〇骨を壊す細胞を抑制し、しっかりとした骨を作る | ×骨を壊す細胞を抑制できず、スカスカの骨になる |
50代半ばに自分の骨密度を正確に把握するのがこれからの人生には大変重要です。
骨密度検査を行うことで、早めに対策が練れますよ。
骨密度検査には3つの検査方法があります。
DXA法 | MD法 | QUS法 |
大腿骨や腰椎を撮影 | 人差指、手のひらを撮影 | かかとの骨で計測 |
信用度が高い | 骨の濃淡や状態で診断 | あくまでも目安の検査 |
約4500円 | 約3000円 | 約500円 |
50代半ばからの骨密度検査は信用度が高いDXA(デキサ)法で行いましょう。
そして、もしこの時点で骨粗鬆症(こつそしょうしょう)予備軍や骨粗鬆症であっても大丈夫です!
現代では様々な治療法があり、強い骨を作れます。
年代別の平均値からみた骨量の対策は下の通りです。
- ほとんどが80%以上の正常値
- 閉経後、50代で1度は骨密度検査をする
- ウォーキングなどの軽い運動がおすすめ
- 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)予備軍や骨粗鬆症の人はすぐに治療を開始する
- ほとんどが骨粗鬆症予備軍か骨粗鬆症
- 骨密度検査を受けてない人は受ける
- 骨粗鬆症予備軍や骨粗鬆症の人は根気よく治療を続ける
- ウォーキングやストレッチなどの軽い運動をする
- 自宅・外出先を転ばない環境にする
若い頃とは違い、高齢になってからの骨折は認知力や気力、体力までも奪ってしまいます。
骨折してしまう前に骨密度検査を受けて自分の骨量を把握し、異常があればすぐにでも治療を始めましょう。
日常生活が不自由なく送れる人生は素晴らしいものです。
そのきっかけとして、骨密度検査を受けに行くのはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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